演題

根治切除不能なStage IV胃癌に対する全身化学療法とconversion surgeryによる治療戦略

[演者] 小林 大介:1
[著者] 神田 光郎:1, 田中 千恵:1, 岩田 直樹:1, 林 真路:1, 山田 豪:1, 藤井 努:1, 小池 聖彦:1, 藤原 道隆:1, 小寺 泰弘:1
1:名古屋大学大学院 消化器外科学

【背景】治癒切除不可能な高度進行胃癌では全身化学療法が第一選択となるが,その奏功により遠隔転移が消失した後に,原発巣切除を行うconversion surgery(CS)を組み合わせることで長期生存が期待できる可能性がある.今回,遠隔転移を有する根治切除不能進行胃癌に対する化学療法およびCSを含む集学的治療についてその適応と意義を検討した.
【対象】2004年から2016年までに当科で胃癌に対して胃切除術が行われた920例中,Stage IV胃癌に対して全身化学療法を行い,遠隔転移消失の診断後に根治目的にCSを施行した14例を対象とした.腹膜播種に対して腹腔内化学療法を施行した後のCS症例は除いた.
【結果】平均年齢は61歳,男/女:10/4であった.治療開始前の壁深達度cT3/4:3/11例,リンパ節転移cN1/2/3:1/1/12例であった.根治切除不能因子として遠隔リンパ節転移13例,腹膜播種5例,肝転移2例,肺転移2例,後腹膜癌症1例を認めた.一次化学療法の内訳はSP/XP+Tra/DCS/DCX/SOX+Tra:8/3/1/1/1例であり,コース数は中央値7コース,治療期間は中央値7.6か月(2.3-17.5)であった.遠隔転移消失からCSまでの期間は中央値2.9か月(0.7-9.1)であった.術式は胃全摘11例,幽門側胃切除3例であり,全例にD2郭清を施行した.全例でR0切除が可能であった.術後合併症として腹腔内膿瘍2例,膵液漏1例を認めた.病理組織学的壁深達度はypT0/1/2/3/4:5/1/1/4/3例,リンパ節転移はypN0/1/2/3:10/2/1/1例であった.原発巣の病理組織学的効果判定はGrade1a/1b/2/3:4/1/4/5例であった.術後化学療法は11例で施行されており,レジメンはS-1/X+Tra/その他:4/3/4例であった.9例が無再発であり,術後観察期間中央値46か月(10-83)で,2例は術後5年生存を得ている.5例に再発を認め(リンパ節転移4例,腹膜播種1例),術後無再発生存期間は中央値6.1か月(3.6-18),術後生存期間は中央値25か月(4.8-45)であった.無再発群は再発群に比べ,化学療法開始前のCEAもしくはCA19-9高値例が低率(22/60%),化学療法開始から遠隔転移消失の期間が短く(中央値:3.6/6.7か月),原発巣の病理学的奏効度が高率で(89/40%),領域リンパ節転移の消失も高率であった(89/40%).
【結語】治癒切除不可能な高度進行胃癌に対して,化学療法の奏功による遠隔転移消失後にCSを行う治療戦略は予後延長に寄与する可能性が示唆された.至適術前治療期間,術後治療の必要性やCSの適応を決定する予後因子などについてさらに検討が望まれる.
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