演題

RS3-134-11-6

左側大腸癌イレウスに対する経肛門イレウス管の適応と限界

[演者] 井上 賢之:1
[著者] 堀江 久永:1, 直井 大志:1, 伊藤 誉:1, 森本 光昭:1, 鯉沼 広治:1, 細谷 好則:1, 北山 丈二:1, Alan Lefor:1, 佐田 尚宏:1
1:自治医科大学附属病院 消化器外科

【目的】大腸癌イレウスはoncological emergencyの典型的疾患である.とくに左側大腸癌症例では吻合前の拡張腸管減圧が縫合不全予防に寄与するため,減圧を行うことが一般的である.減圧方法は,ストマ・経肛門イレウス管・メタリックステントとその方法も多様化している.しかし経肛門イレウス管留置は挿入時合併症や留置後の疼痛,臭気など患者Quality of Lifeを低下させうる問題点もある.そこで今回,当院の左側大腸癌イレウス症例の手術成績を調査し,経肛門イレウス管の適応と限界について考察した.
【方法】2007年1月から2016年12月の10年間に手術加療を施行した左側大腸癌イレウス症例を後方視的に検討した.左側大腸癌イレウス計92例の中から,機械的ドレナージが施行された42例を対象として抽出した.経肛門イレウス管による減圧法施行症例をi-tube(ileus tube)群(33症例),メタリックステントによる減圧法施行症例をSEMS(self-expandable metallic stent)群(9症例)に分類し検討した.
【結果】i-tube群33症例中,27例で留置成功(89%),留置不成功は3例(9%),挿入時穿孔を3例認めた(合併症率:9%).SEMS群では,8例で留置成功(89%),留置不成功は1例(11%),挿入時穿孔は認めなかった(合併症率:0%).腸管減圧後の一期的切除吻合率は,i-tube群で48%(13/27例)(回腸coveringストマ造設症例を含めると59%),SEMS群における一期的切除吻合率は100%(8/8例)であった.i-tube群において人工肛門造設術のみが施行された症例を検討すると,ドレナージ不良,高度局所進行癌,血清アルブミン低値等の栄養不良状態,遠隔転移を有する症例であった.SEMS群の減圧成功例では全例経口摂取が可能となり,術前に腸管洗浄剤による腸準備が可能であった.
【考察】左側大腸癌イレウスに対する経肛門的イレウス管の適応は,遠隔転移や高度局所浸潤がなく,術前状態良好症例では積極的に検討すべきと考えられた.一方,腸管の洗浄・減圧ができても,十分な経口摂取ができなく栄養状態の改善が難しいという限界があり,治癒切除可能な栄養状態不良症例ではメタリックステント留置を選択すべきと考えられた.
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