演題

RS3-133-11-1

大腸ステント留置後腹腔鏡下大腸切除術におけるPrognostic Nutritional Indexの推移

[演者] 園田 英人:1
[著者] 上原 英雄:1, 橋本 健吉:1, 江頭 昭典:1, 楠元 英次:1, 新里 千明:1, 坂口 善久:1, 楠本 哲也:1, 池尻 公二:1
1:九州医療センター 消化管外科 臨床研究センター

【背景】大腸癌イレウスにおけるbridge to surgery としてのSelf-Expanding Metallic Stent(SEMS)留置は,2012年より本邦でも保険収載され,経肛門イレウスチューブと比較し良好な腸管減圧が得られることから使用頻度が増加している.大腸術前のSEMS留置は,術後早期の合併症率や死亡を増加させず,人工肛門造設率を減少させることが報告された(ASCO 2016). 小野寺らによって報告されたPrognostic Nutritional Index (PNI)は,術前の低栄養状態を血清アルブミンとリンパ球の値から簡便に評価し手術危険度を予測する指標として用いられている(日外会誌1984).
【目的】大腸癌イレウスに対するSEMS留置によって栄養状態の指標であるPNIは改善し,腹腔鏡下大腸切除術(LAC)の手術危険度が低下するのか検討する.
【対象と方法】2013年8月から2016年9月に当院においてSEMS留置後LACを施行された17例について,SEMS留置前とLAC直前のPNI(10×血清アルブミン値(g/dl)+0.005×末梢血リンパ球数(/mm3))と周術期の臨床病理学的因子とを比較解析した.
【結果】SEMS留置後2日から5日目に全ての症例で食事再開が可能であった.SEMS留置後LACまでの待機時間は7から239日(中央値22日),LAC直前のPNIはSEMS留置直前と比較し有意に低下していた(p<0.05).SEMS留置直前の経口摂取不能な大腸閉塞スコア(CROSS 2以下)の9例は,経口摂取可能(CROSS 3以上)な8例と比較してSEMS留置直前のPNIには有意差なく,LAC直前のPNIが有意に低下していた(p<0.02).手術において開腹移行症例はなく,術直前のPNIの違いによる手術時間,出血量の有意差は無かった.術直前PNIが40より大きい9例には術後合併症は認めず,PNIが40以下の8例のうち1例は術前内視鏡検査で閉塞性腸炎を認めたため一時的人工肛門造設が行われ,4例に術後合併症(Clavien-Dindo分類 IIの乳糜腹水:2例,IIIaの下血:1例, IIIbの癒着性イレウス:1例)が発生した.
【まとめ】大腸ステント留置後大腸切除術までの間に経口摂取を再開しているにもかかわらず,SEMS留置直前の経口摂取不能な(CROSS 2以下)状態であった症例では顕著にPNI値が低下し,LAC直前PNI値40以下の症例では高率に術後合併症が発生していた.今後Bridge to surgeryとしてのSEMS留置症例に対しては手術までの期間に,積極的な栄養状態改善のための介入が推奨され,PNIはその指標として有用であると考えられる.
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