演題

RS3-132-11-6

大腸癌イレウスに対する治療戦略

[演者] 福永 智彦:1
[著者] 有田 智洋:1, 中西 正芳:1, 栗生 宜明:1, 村山 康利:1, 大辻 英吾:1
1:京都府立医科大学附属病院 消化器外科

【目的】腸閉塞で発症する大腸癌は,大腸癌全体の3~18%程度といわれており,閉塞に対する早急な減圧方法の選択と癌の根治性を考慮した治療方針の検討を必要とする病態である.当科で経験した大腸癌イレウスに対する治療方針と臨床病理学的因子について後方視的に検討した.
【対象と方法】2001年1月から2016年10月までに当科で治療を行った大腸癌イレウス72例について,緊急手術を行った27例(A群),経鼻イレウス管で減圧ののち手術を行った12例(B群),経肛門的にイレウス管あるいはステントを留置して減圧ののち手術を行った33例(C群)として臨床病理学的因子との関連を検討した.C群は,経肛門イレウス管が23例,ステントが10例であり,症例数が少ないため合計して経肛門減圧群とした.経肛門的減圧は34例に試みたが,1例はイレウス管挿入困難であり緊急手術を施行した.
【結果】それぞれの群での5年生存率はA群で75.4%,B群で37.5%,C群で85.6%であり,有意差は認めなかった(p=0.089)がB群で予後不良の傾向が見られた.B群には右側結腸癌が多く,A,C群には左側結腸癌と直腸癌を多く認めた.C群においては,開腹手術と比べ有意に腹腔鏡手術の施行率が高く(p<0.001),術中出血量が少なかった(p=0.002).またC群では一期的吻合を高率で行ったが(p=0.009),縫合不全の発症率には有意差を認めなかった(p=0.543).またC群において手術部位感染の発症率は有意に減少(p=0.034)し,術後在院日数は短期間であった(p=0.003).また,腫瘍の部位別の生存曲線では,直腸や左側結腸に比べ有意に右側結腸の症例で予後不良であった(p<0.001).
【考察】大腸癌イレウスに対して可能な症例には経肛門的減圧を試みることは,緊急手術や人工肛門造設などの過大侵襲を避け腹腔鏡下に一期的手術を行うための低侵襲かつ有効な手段であると考えられる.
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