演題

RS1-39-14-5

左側大腸癌イレウスに対するステント留置と経肛門イレウス管留置後の手術成績の比較

[演者] 有坂 早香:1
[著者] 長谷川 誠司:1, 瀬上 顕貴:1, 嶋田 裕子:1, 高川 亮:1, 林 勉:1, 村上 仁志:1, 池 秀之:1, 福島 忠男:1
1:済生会横浜市南部病院 外科

【背景・目的】大腸ステントは経肛門イレウス管にかわる閉塞性大腸癌に対する腸管減圧法として期待されている.近年大腸ステントの方が短期成績が良好であるという報告が散見されるが,病理学的な比較及び長期成績についてはほとんど報告されていない.【対象・方法】2004年6月から2016年6月までに当科行った大腸癌手術症例のうち,術前に減圧を行った後に原発巣を切除した左側大腸癌イレウス62例を対象とした.大腸ステント群(以降S群)46例と,経肛門イレウス管群(以降I群)16例に分けて,後ろ向きに臨床病理学的特徴について比較検討した.【結果】平均年齢はS群69.8歳,I群68.6歳,男性はS群20例(43.5%),I群5例(31.3%),原発巣はS群:D8例,S23例,RS14例,Rb1例,I群:S6例,RS8例,Ra1例,Rb1例であり両群に差はなかった.S群では全例減圧に成功していたが,I群では1例(6.3%)で減圧不十分であり経鼻イレウス管挿入を要した.減圧後の原発巣切除は腹腔鏡手術がS群39.1%,I群13.3%で行われ,S群で多い傾向があった.人工肛門造設率はS群17.4%,I群37.4%とI群で多い傾向があった.D3郭清はS群33例(71.7%),I群9例(56.3%)に施行されており,手術時間はS群239分,I群223分,出血量はS群363ml,I群153mlと両群で差を認めなかった.Clavien-Dindo分類でgradeIII以上の術後合併症はS群7例(15.3%),I群6例(37.5%)であり,縫合不全はS群2例(4.3%),I群3例(18.8%)に認め,いずれもS群で多い傾向があった.術後在院日数はS群17日,I群26日とI群で有意に延長していた(p=0.013).病理学的には郭清リンパ節個数はS群25個,I群21個,転移陽性リンパ節個数はS群2.9個,I群2.3個と両群で差を認めなかった.静脈侵襲はS群38例(82.6%),I群13例(81.3%)で陽性であり差がなかったが,リンパ管侵襲についてはS群40例(87.0%),I群7例(43.8%)で陽性であり,リンパ管侵襲はS群で有意に高率(p=0.001)だった.StageIVを除く45例のうち,再発率はS群21.9%,I群30.8%であり,なかでも局所再発はS群2例(4.3%),I群2例(12.5%)に認めたが両群で差はなかった.【結論】閉塞性大腸癌に対する大腸ステントによる減圧後の根治手術は,経肛門イレウス管留置後の手術に比べて短期成績が良好であり,有用と考えられる.現時点で再発率に差はないものの,ステント留置後のリンパ管侵襲陽性率が高い為,今後長期成績についての検討が必要である.
詳細検索