演題

RS1-38-14-4

大腸癌イレウスに対する治療成績

[演者] 中村 保幸:1
[著者] 井上 隆:1,2, 植田 剛:1, 尾原 伸作:1, 中本 貴透:1, 佐々木 義之:1, 小山 文一:1,2, 庄 雅之:1
1:奈良県立医科大学附属病院 消化器・小児外科・乳腺外科, 2:奈良県立医科大学附属病院 中央内視鏡部

【目的】進行大腸癌では,原発巣による狭窄や閉塞を呈することはまれではない.当科では,減圧処置を行わず,手術を先行することが多い.今回,狭窄を呈した大腸癌の治療成績を検討した.【対象】2007年から2012年までの原発性大腸癌手術例のうち,fStage II/IIIの303例を対象とした.内視鏡通過困難な症例,または術前絶食管理が必要な症例を狭窄群と定義した.【成績】狭窄群を92例,通常群を211例認めた.患者背景では,狭窄群は通常群と比べ,CRP≧1.0mg/dL(p<0.01),Alb<3.7g/dL(p<0.01),CEA≧5ng/ml(p<0.01)の割合が有意に高かった.病理組織学的検査では,狭窄群は全例T3以深で,深達度は狭窄群が有意に深かった(p<0.01).狭窄群では,絶食後に手術が57.6%,緊急手術が35.9%,減圧処置後(一時的人工肛門造設5例,経肛門イレウス管1例)に手術が6.5%であった.狭窄群は通常群と比べ腹腔鏡手術は有意に少なかったが(p<0.01),吻合施行例は狭窄群87.0%/通常群82.0%と有意差は認めなかった(p=0.28).術後合併症でも両群間に有意差は認めず(p=0.49),縫合不全も狭窄群9.1%/通常群4.6%と有意差を認めなかった(p=0.12).術後補助化学療法施行率は,Stage IIでは狭窄群29.8%/通常群15.2%と狭窄群で有意に高かったが(p=0.04),Stage IIIでは狭窄群40%/通常群68.9%と狭窄群で有意に低かった(p<0.01).オキサリプラチンベースの化学療法施行率は,両群とも20%以下で有意差は認めず(p=0.38),狭窄群では化学療法施行の有無でOS/DFSに有意差はなかった(p=0.70/0.94).3年OS/DFSでは,Stage IIではともに両群間で有意差は認めなかったが(p=0.98/0.94),Stage IIIはともに狭窄群が有意に低かった(p=0.01/0.04).再発形式では両群間に有意差は認めず,局所再発/腹膜播種再発でも両群間に有意差は認めなかった(p=0.43/0.53).【結語】手術を先行することが多い当科での狭窄群の手術は,通常群と同等の治療成績であった.Stage IIIの狭窄群は通常群に比して予後不良であり,より有効な集学的治療の必要性が示唆された.
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