演題

cT4胸部食道癌における予後解析に基づいた治療戦略の最適化

[演者] 牧野 知紀:1
[著者] 山崎 誠:1, 田中 晃司:1, 宮崎 安弘:1, 高橋 剛:1, 黒川 幸典:1, 中島 清一:1, 瀧口 修司:1, 森 正樹:1, 土岐 祐一郎:1
1:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅱ

周囲臓器浸潤(cT4)胸部食道癌に対する治療においては,根治化学放射線療法はCR率が低いため,いかに導入療法でR0切除にもっていけるかに治療成績は大きく依存する.しかしながら予後解析に基づいた至適導入療法の確立はいまだなされていないのが現状である.当科において2001~2014年に初期導入療法として3剤(DCF;DTX+CDDP+5FUまたはACF;ADM+CDDP+5FU)併用化学療法(Chemo先行群 n=138)または化学放射線療法[CRT先行群:FP(5FU/CDDP)+RT(40-60Gy) n=55]を施行した遠隔転移を伴わないcT4胸部食道扁平上皮癌193例を対象とした.なおChemo先行群において初期導入化学療法後に切除可能とならなければ2次導入療法としてCRTを追加した.Chemo先行群では51.4%(71/138)が初期導入化療後に外科切除でき,44.9%(62/138)には2次導入療法としてCRTを施行した(うち37例はその後に外科切除施行).一方でCRT先行群では初期導入CRT後に49.1%(27/55)に外科切除が施行され,12.7%(7/55)がCRT後にcCRとなり経過観察となった.なお1次導入療法の臨床効果(3剤化学療法 vs CRT)は54.4 vs 78.8%(p=0.0103)とCRTで高かったが,化学療法レジメ別(FAP vs DCF療法)では43.1 vs 62.5%とDCF療法で有意に高かった(p=0.0237).
導入療法前後でFDG-PETを施行したcT4症例(n=130)における予後(CSS; cause-specific survival)の多変量解析では導入療法前後の主病巣SUVmax減少率(<60%/>60%) (HR=2.35 p=0.0107), 導入療法後のPET-N (陰性/陽性)(HR=1.97 p=0.0089),切除の有無(無/有)(HR=2.01 p=0.0245)が有意な独立予後因子であった(単変量で有意であったcN,cM,食道穿孔,導入療法前後の主病巣CT面積縮小率,導入治療前PET-Nは有意とならなかった).また傾向スコアマッチ解析(調整因子:年齢, 性別, 占拠部位, cN, cM, 浸潤臓器)により初期導入DCF療法(±2次導入CRT,n=50)と初期導入CRT症例(n=50)とを比較すると,初期導入DCF療法では食道穿孔率が低く (4.0 vs. 18.0%, p=0.0205),切除率が高く (79.0 vs. 45.7%, p=0.0017),有意に予後良好であった(5y-CSS 42.1 vs. 22.2%, p=0.0146).以上よりcT4胸部食道癌においては主病巣およびリンパ節での導入療法のFDG-PETによる治療効果判定が重要であり,DCF療法は初期導入療法の有用なオプションであることが示唆された.
詳細検索