演題

RS1-30-12-5

高齢者(80歳以上)大腸癌患者の原発巣切除における術後合併症の危険因子の検討

[演者] 三口 真司:1
[著者] 吉満 政義:1, 箱田 啓志:1, 山北 伊知子:1, 中島 亨:1, 加納 幹浩:1, 大森 一郎:1, 小橋 俊彦:1, 檜原 淳:1, 平林 直樹:1
1:広島市立安佐市民病院 外科

【背景】
高齢者に対する大腸癌手術は年々増加しているが,高齢者症例では,主要臓器機能が低下している可能性が高く,根治性と安全面の両面を考慮し治療方針を決定する必要があり,高齢者特有の術後合併症とそのリスク因子を把握しておくことは重要である.
【目的】
高齢者大腸癌の原発巣切除症例における術後短期成績を検討し,術後合併症の危険因子を明らかにする.
【方法】
対象は2010 年1 月から2015 年12 月に当院で大腸癌原発巣切除を行った80歳以上の高齢群195例と80歳未満の対照群720例を対象とし,2群間で術後合併症を後方視的に比較検討した.さらに高齢群において,臨床病理学的因子に対し単変量・多変量解析を行い,術後合併症の危険因子を検討した.
【結果】
Clavien-Dindo分類Grade II以上の術後合併症は高齢群47例(24.1%),対照群122例(16.9%)であり,高齢群に有意に多かった(p=0.03).合併症別では,高齢群においてせん妄が有意に多く(p=0.001),イレウス/肺炎が多い傾向であった(p=0.08/ 0.07).また,高齢群の合併症に関しては,単変量解析ではPerformance status (PS) 1以上,ASA PS (Physical Status Classification) III以上,Nutritional prognostic index (PNI) 38未満,modified Glasgow Prognostic Score (mGPS) 1以上,Alb 3.9g/dl未満,開腹アプローチ,手術時間265分以上,術中出血量70ml以上の8因子が危険因子として抽出され,多変量解析ではPNI 38未満(HR4.14, 95%C.I. 1.33-13.5, P=0.01),開腹アプローチ (HR2.88, 95%C.I. 1.1-7.9,P=0.03)および手術時間 265分以上(HR6.88, 95%C.I. 2.24-22.6, P=0.0007)が独立した危険因子であった.さらに合併症それぞれに関して同様の検討を行うと,せん妄に対しては200mL以上の術中出血,イレウスに対しては1以上のPS不良,切開創Surgical site infection (SSI)に対してはPNI 37未満,臓器体腔SSIに対しては,PNI 35未満・手術時間265分以上が独立した危険因子であった.
【結語】
高齢者大腸癌の原発巣切除における術後合併症は,イレウス・せん妄・肺炎が多く,危険因子は栄養不良,長時間手術および開腹アプローチであった.
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