演題

RS1-30-12-3

80歳以上の高齢者大腸癌手術症例の検討

[演者] 増井 秀行:1
[著者] 橋田 裕毅:1, 大森 彩加:1, 松原 孝明:1, 北野 翔一:1, 熊田 有希子:1, 岩村 宣亜:1, 水本 素子:1, 貝原 聡:1, 細谷 亮:1
1:神戸市立医療センター中央市民病院 外科

【背景】
超高齢化社会に伴い,高齢者に対する手術を行う機会が増加している.今回,当科で施行した80歳以上の大腸癌手術症例につき検討を行った.
【方法】
2013年1月から2016年11月までに当院で施行した80歳以上の大腸癌手術症例137例を対象とし,術前併存疾患/手術内容/術後合併症/化学療法の導入率について,retrospectiveに分析を行った.
【結果】
平均年齢:83.5歳(80-85歳:107人,86-90歳:23人,91歳-:7人),男:女=66:71,BMI:21.1±3.5kg/m2,PS0:PS1:PS2:PS3=59:47:24:7,術前に貧血を83例(60.6%)に認めた.術前併存疾患を130例(94.9%)と高率で認め,高血圧症98例(71.5%),循環器系疾患49(35.8%),呼吸機能障害41(29.9%)の順に多かった.抗血小板薬・抗凝固薬の内服は46例(33.6%)で行っており,当該科と相談の上,術前休薬あるいは術前ヘパリン化を行っていた.また,複数の併存疾患をもつ症例を中心に術前心臓超音波検査を86例(62.8%)に施行し,術後管理の一助とした.腫瘍の局在は右側結腸67例,左側結腸41例,直腸29例,進行度はpStage0/Ⅰ/Ⅱ/Ⅲa/Ⅲb/Ⅳ=1/23/52/31/12/18例,術式は腹腔鏡下109例,開腹28例であった.開腹理由として,呼吸機能の不良な症例や頻回の手術既往のある症例が多かった.バイパス術もしくは人工肛門造設術などの姑息的手術は6例において施行されていた.根治度はCurA:117例(85.4%),リンパ節郭清に関しては86例(62.8%)でD3郭清,37例(27.0%)でD2郭清を施行していた.術後はPSの高い症例を中心に68症例(49.6%)で理学リハビリ療法を実施していた.周術期合併症は創感染11例,縫合不全9例(うち7例で再手術)の他,せん妄19例であった.術後在院日数中央値は12日,転機は自宅退院119例(86.9%),転院16例(11.7%),在院死亡2例(1.5%)であった.StageⅣ18例のうち術後に化学療法を施行したのは2例,StageⅢ・StageⅡ high risk群61例のうち術後補助化学療法を施行したのは11例のみであり,残りの症例では経過観察の方針となっていた.
【結語】
高齢者においても大腸癌手術は比較的安全に手術可能であった.術前後に全身状態を正しく評価・管理し,必要であればリハビリ介入を実施することで,自宅退院を目指すことが可能であった.また,術後化学療法の施行が困難なことがある点を踏まえ,PSと併存疾患を念頭におきつつ,進行度に準じたリンパ節郭清を伴う治癒切除術を選択することが望ましいと考えられた.
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