演題

RS1-30-12-2

85歳以上の超高齢者大腸癌の特徴と手術成績の検討

[演者] 澤崎 翔:1,2
[著者] 玉川 洋:1, 井上 広英:1, 大島 貴:2, 湯川 寛夫:2, 利野 靖:2, 益田 宗孝:2
1:上白根病院 外科, 2:横浜市立大学医学部 外科治療学

【はじめに】社会の高齢化に伴い,高齢者に対する手術は増加しており,癌の治療においては根治性と安全性を考慮し,治療方針や術式を決定する必要がある.
【目的】当院で施行した85歳以上の超高齢者大腸癌手術症例の短期成績を検討し,超高齢者大腸癌の特徴と手術の安全性を明らかにする.
【対象と方法】2011年1月から2016年10月までに当院で施行した大腸癌手術症例のうち,85歳以上の超高齢者群42例について,75歳から84歳までの大腸癌手術症例94例を対照群とし,性別,BMI,Performance Status (PS),ASA分類,術前貧血,総蛋白値,アルブミン値,CRP値,腫瘍マーカー(CEA,CA19-9),modified Glasgow Prognostic Score,術前併存症,抗凝固薬内服,併存疾患を点数化したCharlson Comorbidity Index,術前施設入所の有無,術前腸閉塞合併,緊急手術,原発巣切除,手術時間,出血量,リンパ節郭清度,腫瘍の局在,肉眼型,腫瘍径,組織型,深達度,リンパ節転移の有無,リンパ管侵襲,静脈侵襲,病期,術後合併症,術後在院期間を比較検討した.合併症はClavien-Dindo 分類を用いて評価した.
【結果】平均年齢は超高齢者群90.0±3.5歳,対照群79.1±2.9歳であった. 2群の背景因子を比較したところ,超高齢者群で女性,BMI18未満,PS2以上,ASA3以上,Alb4g/dL未満,CEA5ng/mL以上,施設からの入院症例を有意に多く認めた.腫瘍学的因子では,超高齢者群で3・4型腫瘍が多く,右側大腸癌および術前腸閉塞合併が多い傾向を認めた.手術因子では,超高齢者群で手術時間が120分以上,D3リンパ節郭清を行った症例は少なく,出血量も少ない傾向を認めた.術後せん妄は超高齢者群で多く認めたが,Grade II以上の術後合併症は超高齢者群12例(28.6%),対照群30例(31.9%)と差を認めず,術後在院期間も差はなかった.術後合併症の内容は超高齢者群で肺炎の頻度が高かった.
【結語】85歳以上の超高齢者大腸癌手術症例の短期成績を検討し,超高齢者大腸癌の特徴と手術の安全性を検討した.超高齢者群では術前の全身状態は不良であり,腸閉塞の合併が多いなど手術のリスクは高いと考えられたが,リンパ節郭清など手術侵襲を抑えることで術後合併症の頻度に有意な差を認めなかった.全身状態を十分に把握し,適切な術式選択と周術期管理により安全に手術を施行しうると考えられたが,術後せん妄や肺炎の発症に留意する必要がある.
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