演題

術前化学放射線療法を施行した切除可能進行食道癌の治療成績と予後予測

[演者] 濱井 洋一:1
[著者] 恵美 学:1, 古川 高意:1, 伊富貴 雄太:1, 岡田 守人:1
1:広島大学原爆放射線医科学研究所 腫瘍外科研究分野

【はじめに】JCOG9907の結果からcStage III食道癌には,より強力な術前治療の必要性が示唆される.また欧米では,CROSS試験やメタアナリシスの結果から術前化学放射線療法(Chemoradiotherapy: CRT)が切除可能進行食道癌の標準治療とされている.当科ではこれまで,切除可能進行食道癌に対して根治性向上を目指して積極的に術前CRTを施行してきた.術前CRT症例の治療成績および予後因子を解析した.【対象,方法】対象は2003年から2014年に,術前CRT後に根治的食道切除術を施行した進行食道扁平上皮癌125例(UICC 7th cStage IB/II/III/IV: 4/28/79/14例).術前CRTは40Gyの照射とcisplatin, 5-fluorouracil, docetaxel, nedaplatinの化学療法剤を2から3剤同時併用した.食道切除術は術前CRT終了から4~8週後に施行した.これらの症例において,術前CRTの抗腫瘍効果や予後および病理組織学的因子と全生存期間(overall survival: OS)の関連性を解析した.【結果】術前CRTの臨床的効果はCR: 31例,PR: 87例,SD: 6例, PD: 1例で,奏効率は94%であった.cStageとpStageの比較において89例(71%)にdown-stagingを得た.全症例の5年全生存率は54%,cStage II, III症例の5生率はそれぞれ64%,49%であった(p=0.52).原発巣の病理組織学的効果はGrade 0/1,2,3がそれぞれ31例(25%),47例(38%),47例(38%)であり,これらの5生率は29%,54%,70%であった(p=0.001).pN0,pN1,pN2/3症例については,それぞれ67例(54%),39例(31%),19例(15%)で,5生率は67%,47%,21%であった(p=0.002).その他,pT (pT0/1/2 vs. pT3/4, p=0.004),ly (陽性vs. 陰性: p=0.01),分化度(poorly vs. others: p=0.005)においても予後に有意差を認めた.これらの因子における多変量解析でpN (pN0/1 vs. 2/3; OR, 2.40; 95%CI, 1.28-4.51; p = 0.001)と分化度 (poorly vs. others; OR, 1.83; 95%CI, 1.05-3.19; p = 0.03)が独立した予後因子であった.【結語】術前CRTの奏効率は非常に高く予後良好で,進行食道癌に対する有望な治療である.病理組織学的に低分化型,pN2/3症例が予後不良であり,術後補助療法や厳重なフォローアップが必要である.
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