演題

RS1-28-12-6

高齢患者に対する大腸癌予後規定因子の解析

[演者] 谷口 文崇:1
[著者] 虫明 泰:1, 國友 知義:1, 安原 功:1, 内海 方嗣:1, 荒田 尚:1, 勝田 浩:1, 田中屋 宏爾:1, 青木 秀樹:1, 竹内 仁司:1
1:岩国医療センター 外科

【背景】我が国が直面している高齢化社会の急速な進行により癌の罹患率,死亡率は加速度的に進んでいる.なかでも大腸癌は本邦の悪性腫瘍による部位別死因で第2位,罹患で第1位を占めており,なおも増加傾向にある.当院の位置する岩国市は65歳以上が全人口の33.4%を占め,まさに高齢化先進都市であるといえる.当院における大腸癌治療の現状は日本の将来像を呈している可能性があるため,これを解析し報告する.
【対象と方法】2010年から2012年に当院で大腸癌に対する手術を施行された219例を対象とし,75歳未満(非高齢者)と75歳以上(高齢者)で比較検討し予後規定因子について解析した.
【結果】非高齢者群は139例,高齢者群は80例で全体の平均年齢は71.4歳であった.両群でT因子,N因子,M因子に差は認めなかったが,高齢者では有意に右側結腸が多かった(p=0.048).また,高齢者では既往歴を持つ症例,抗凝固薬を服用している症例が多かった(p=0.005/0.001).死因別では原病死が少なく(p=0.005),他癌死を除く他病死が有意に多い傾向にあり(p=0.013),高齢者は非高齢者より有意に予後不良であった(p=0.015).高齢者の予後規定因子は背景因子としてはALB≤3g/dL (p=0.025),CRP≥1mg/dL (p=0.004),Hgb≤10g/dL (p=0.012)が,腫瘍学的因子としてはT4症例のみが有意な予後規定因子であり(p=0.026),リンパ節転移や遠隔転移は有意差を認めなかった.治療因子としてはR0症例が有意に予後良好であった(p<0.001).これらについて多変量解析を行ったところ貧血 (HR2.5; p=0.020)および非治癒切除 (HR4.3; p=0.001)のみが予後規定因子として有意であった.またStageⅢに対する補助化学療法は非高齢者では効果がある傾向にあったが(p=0.072),高齢者では効果を認めなかった(p=0.907).
【結論】高齢者癌治療においては必ずしも腫瘍学的因子が予後を決定するわけではなく,個々の症例の背景因子としての生物学的脆弱性を考慮する必要がある.積極的に化学療法を遂行することが有意であるかどうかは不明だが,手術症例においては可能な限り治癒切除を行うことで予後を見込める可能性がある.
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