演題

RS1-28-12-5

当科における高齢大腸癌患者の短期および長期成績

[演者] 山本 学:1
[著者] 蘆田 啓吾:1, 前田 佳彦:1, 谷尾 彬充:1, 漆原 正一:1, 徳安 成郎:1, 坂本 照尚:1, 本城 総一郎:1, 齊藤 博昭:1, 藤原 義之:1
1:鳥取大学附属病院 第一外科診療科群(消化器外科)

【はじめに】人口の高齢化にともない,高齢者に対する大腸癌手術症例も増加している.高齢者は併存症も多く,ADLの低下も見られ,手術リスクも高い.そこで今回,当科における75歳以上の高齢大腸癌患者の治療の現状と予後因子を明らかにすることを目的に検討を行った.
【対象と方法】2007年から2015年にかけて当科で大腸癌に対して大腸切除術を施行した75歳以上の高齢者211人を対象とした.年齢による背景や合併症,予後の影響を調べるため,75~79歳の群(A群)と80歳以上の群(B群)に分けて比較検討した.また,高齢大腸癌患者の予後に影響を及ぼす因子についても検討した.
【結果】
・ A群は101例(平均76.6歳,男性61例,女性40例),B群は110例(平均83.6歳,男性55例,女性55例)であった.
・ 背景因子の比較ではB群でASA3以上,術前腸閉塞の症例を有意に多く認めた.ステージには差を認めなかった.また,栄養状態のマーカーであるBMIおよびPNIはB群で有意に低値であった.E-PASSのうち,PRS,CRCはB群で有意に高値であった.
・ 手術時間はB群で有意に短かかったが,出血量,緊急手術の有無,D3郭清の有無は両郡間で有意な差を認めなかった.術後合併症の発生率は両群で差を認めないものの,在院日数はB群で有意に延長していた.また,自宅への退院率はA群97%,B群81.8%とB群で有意に低かった.
・ 術後補助化学療法はA群22例(26.5%),B群8例(9%)で施行されており,有意にB群で低かった.
・ StageⅠ-Ⅲ症例で検討したところ,5年生存率(OS)はA群70%,B群48%とB群で有意に予後不良であった.再発はA群5例(6%),B群16例(18%)で,B群で有意に高率であった.さらに多変量解析ではステージ,PNI,PRSが独立した予後因子であった.
【まとめ】
80歳以上の高齢大腸癌患者では,術前全身状態が悪い症例が多く認められた.PNIやPRSは独立した予後因子であり,手術適応の決定に考慮するべき因子と考えられた.一方で80歳以上の症例に対してもD3郭清は差がなく施行されていたが,再発率は有意に高率であった.これは補助化学療法の施行率の低さが原因である可能性があり,全身状態が良好であれば,積極的な補助化学療法の施行を考慮すべきと考えられた.
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