演題

RS1-27-12-6

がんリハビリテーションの観点から評価した高齢者大腸癌に対する腹腔鏡下手術の有用性

[演者] 吉村 哲規:1
[著者] 増田 大機:1, 小林 建太:1, 山本 瑛介:1, 矢部 早希子:1
1:東京都立大塚病院 外科

【背景】高齢者に対する大腸癌手術においては,病勢のコントロールと同時に術後の合併症回避・機能回復と社会復帰が重要な課題である.また,高齢化に伴い,高齢者に対して腹腔鏡下手術が適応されることが多くなっており,多面的に腹腔鏡下手術の妥当性を検証する必要性があると思われる.近年,がん手術治療の周術期管理にがんリハビリテーションという概念が定着しつつある.当院では2011年ごろより特に高齢者のがん患者に対し,がんリハビリテーションとして運動機能のみならず,栄養,呼吸,皮膚排泄,口腔,緩和,MSWといった各部門から系統的に評価,情報を共有し,部門横断的に患者のADLを評価・介入し手術前後のADLの低下防止に取り組んでいる.ADLの評価には,「がんのリハビリテーションガイドライン」にも引用され,簡便かつ必要十分で診療記録から後方視的にも評価しやすいBarthel Indexによるスコアを用いている.【目的】がんリハビリテーションの介入された高齢者の大腸癌手術症例において,手術前後のADLの変化をBarthel Indexを用いてスコア化し,術式により比較,腹腔鏡下手術の有用性について検討した.【対象と方法】当院でがんリハビリテーション導入後の2011年から最近までに手術治療を行った80歳以上の大腸癌患者は93例であった.うち,開腹手術群63例と,腹腔鏡下手術群31例について,術前の状態,手術,周術期合併症の有無,術後在院日数といった臨床項目の評価に加えて,手術前後のADLの変化をBarthel Indexを用いてスコア化して評価し,比較検討を行った.【結果】腹腔鏡下手術群では,開腹手術群と比較してBarthel Indexの変化の程度が小さく,術後の在院日数は短く,合併症発生頻度,特に呼吸器関連の合併症発生が少なかった.【考察】高齢者大腸癌における腹腔鏡下手術は,患者のADLを大きく下げることなく安全に行えており,がんリハビリテーションの観点からも有用と思われた.Barthel Indexは食事,移動,排泄といった10項目の日常動作の自立度を判定し,スコア化することで比較的簡便に患者のADLを評価できるツールで,過去の診療記録の情報からでもデータの欠損がほとんどなく,高齢者のADL評価に有用であった.
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