演題

RS1-26-12-4

低肺機能を有するハイリスク症例に対する腹腔鏡下大腸切除術

[演者] 岡崎 直人:1
[著者] 建 智博:1, 福井 雄大:1, 富沢 賢治:1, 花岡 裕:1, 戸田 重夫:1, 森山 仁:1, 的場 周一郎:1, 黒柳 洋弥:1
1:虎の門病院 消化器外科

【はじめに】近年高齢化に伴い,低肺機能症例や心血管疾患併存症例が増加しているが,手術手技の改善や麻酔管理の進歩によりこのような症例においても手術が施行されている.当科も低肺機能の患者の大腸癌の腹腔鏡手術を積極的に行っている.今回,低肺機能を有した大腸癌患者における腹腔鏡手術に関する合併症に関して検討したので報告する.
【方法】当院で2011年1月から2016年11月の間に施行した大腸腫瘍の腹腔鏡手術の中で呼吸器疾患(COPD,IP,肺癌術後,喘息,その他)を有した患者の中で,術前呼吸機能検査で閉塞性(FEV 1.0%が70 %未満),拘束性(% VCが80 %未満)あるいは混合性肺障害と診断された症例69 例を対象とし,術後呼吸器合併症のリスク因子を後方視的に調査した.リスク因子は,患者因子(年齢,BMI,1秒量,1秒率,%肺活量,病変部位)と手術因子(手術時間,出血量,輸液量)とした.また,1秒量1000 mL未満の患者の術後合併症に関し評価した.
【結果】呼吸器疾患を有した患者の平均年齢は74.0 歳,男女比は53 例16例であった.術後呼吸器合併症を発症した症例は,69例中5例(7.2 %)認め,低酸素血症が2例,肺炎が3例であった.リスク因子を検討したところ,術後呼吸器合併症を認めた患者では有意に%肺活量の低値を認めた(合併症あり75.8 %,合併症なし 95.3 % ,P=0.038).それ以外は有意差を認めなかった.1秒量1000 mL未満の症例は13例認め,術後呼吸器合併症は2例認めた.1例は,術後肺炎となったが抗生剤加療にて改善した.もう1例は,術後早期に痰による窒息により低酸素血症となり亡くなった.また,1秒量1000 mL未満が,1000 mL以上と比較し,術後呼吸器合併症の有意なリスク因子ではなかった(P=0.21).
【考察】
呼吸器疾患を有した患者の大腸癌に対する腹腔鏡手術の術後呼吸器合併症は,7.2 %と少ない成績が得られた.また,一般に1秒量が1000 mL未満は,術後呼吸器合併症のリスクとあげられているが,今回の結果では有意な因子とはいえなかった.呼吸器疾患を有した腹腔鏡下手術において,%肺活量が低い患者が呼吸器合併症のリスクとなりうる可能性が示唆された.
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