演題

RS3-156-15-6

切除不能stage IV大腸癌におけるconversion症例の予後の検討

[演者] 野澤 宏彰:1
[著者] 石原 聡一郎:1, 川合 一茂:1, 畑 啓介:1, 清松 知充:1, 田中 敏明:1, 西川 武司:1, 大谷 研介:1, 安田 幸嗣:1, 渡邉 聡明:1
1:東京大学大学院 腫瘍外科学

【背景】切除不能大腸癌においても全身化学療法が著効すれば切除可能となる,いわゆるconversion症例が,国内外で報告されている.今回我々は,切除不能と診断された遠隔転移を伴う原発性大腸癌症例においてconversionに関わる因子を解析し,conversion症例の予後について検討した.【方法】対象は2005年6月-2016年8月に当院で治療されたstage IV大腸癌211例とし,まず切除不能(または切除困難)の判断にて1次治療として全身化学療法が選択された症例において,臨床病理学的因子や化学療法レジメンを後方視的に解析し,conversion手術に至る因子について多変量解析を用いて検討した.さらにconversion症例については,無再発生存(RFS)や全生存率(OS)を,最初から切除可能と判断され手術治療を先行させたstage IV大腸癌症例と比較した.なお切除可能病変に対するneoadjuvant chemotherapy症例は対象から除外した.【結果】全身化学療法を先行させた症例は99例であり,手術先行症例は112例であった.化学療法を先行させた症例のうちconversionとなりえたのは23例(23%)であった.Conversionに関与する因子の単変量解析を行うと,抗体製剤併用,一臓器転移,肝転移症例,また肺転移や腹膜播種のないことが切除率の高くなる因子として抽出され,多変量解析では抗体製剤併用(odds比56.7,p<0.0001),一臓器転移(odds比22.6,p=0.0005),肝転移症例(odds比60.5,p<0.0001)が有意なconversionの予測因子であった.次にconversion症例(23例)と手術先行の112例の比較では,手術症例で単一臓器転移が高頻度で(89% vs 70%, p=0.02),遠隔リンパ節転移が低頻度であった(6% vs 22%, p=0.03).治癒切除術後の再発部位は両群間で同様の分布であった.さらに治療開始からのRFSおよびOSに有意な差を認めなかった(3年RFS:conversion症例43%,手術先行症例26%,p=0.87; 3年OS:conversion症例66%,手術先行症例76%, p=0.23).【結語】切除不能とされたstage IV大腸癌においては,肝転移のみを有する症例や抗体製剤の併用が,化学療法によるconversionと相関していた.Conversionとなりえた症例は,最初から切除可能であったstage IV症例に匹敵する予後が得られることが示唆された.
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