演題

RS3-156-15-5

Stage IV大腸癌に対して人工肛門造設術後に化学療法を施行した症例に関する検討

[演者] 鈴木 紳祐:1
[著者] 秋吉 高志:1, 長嵜 寿矢:1, 小西 毅:1, 藤本 佳也:1, 長山 聡:1, 福長 洋介:1, 上野 雅資:1
1:がん研究会有明病院 消化器外科

【背景】Stage IV大腸癌,特に同時性肝転移症例に対する治療は,化学療法を併用することで予後の改善が得られている.当院では同時性多発肝転移症例で,原発巣の狭窄を認めた症例に対して,人工肛門造設術後に化学療法を導入している.今回,当院で経験した人工肛門造設術後に化学療法を導入したstage IV大腸癌症例の予後について検討した.【対象と方法】2004年7月から2015年12月の間に人工肛門造設術を施行した肝転移を有するstage IV大腸癌76例のうち,手術後に化学療法を導入できた症例は64例(84%)であった.そのうち,回腸人工肛門造設群(I群)8例,結腸人工肛門造設群(C群)56例をretrospectiveに比較したうえで,予後予測因子を検討した.【結果】平均年齢はI群:55歳,C群:59歳(p=0.30),性別(男:女)はI群:0例:8例,C群:19例:37例(p=0.49)であった.原発部位が左側大腸(下行結腸~直腸)に存在したのは,I群:6例,C群:55例(p=0.04)であった.肝転移(H1:H2:H3)はI群:1:4:3,C群:16:13:30(p=0.25),他の遠隔転移(I群:C群)も,肺転移(2:13)(p=0.91),腹膜播種(1:9)(p=0.76),骨転移(1:8) (p=0.89),傍大動脈リンパ節転移(2:11) (p=0.73)を認めた.生存期間中央値は,I群:11ヶ月,C群:13ヶ月(p=0.53)であった.化学療法の用量強度はI群:93%,C群:91%(p=0.62)と同等であった.化学療法導入後に原発巣切除した症例はI群:3例(38%),C群:13例(23%)(p=0.40),肝転移巣切除した症例はI群:2例(25%),C群:11例(20%)(p=0.67)と共に差がなかった.以上のことから,人工肛門造設部位は予後とは関連しないことがわかった.ついで,生存期間中央値を予後予測因子別にみると,肺転移有/無が16.4/11.8ヶ月(p=0.34),骨転移有/無が4.9/16.1ヶ月(p<0.05),傍大動脈リンパ節転移有/無が11.8/14.4ヶ月(p=0.18),CEA 30ng/ml以上/未満が11.5/27.5ヶ月(p=0.03),左側大腸癌/右側大腸癌が14.4/11.4ヶ月(p=0.32),原発切除有/無が27.0/10.4ヶ月(p=0.07),肝切除有/無が43.1/11.4ヶ月(p=0.05)であった.【結語】肝転移を有する大腸癌では,化学療法を併用して肝切除することで生存期間の延長が期待できる.原発巣の狭窄を伴い,人工肛門造設が必要となった場合には一般的に結腸人工肛門が推奨される.ただし,結腸人工肛門造設が困難な場合は,回腸人工肛門を造設しても化学療法を同様に導入することが示唆された.
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