演題

進行食道癌に対する鏡視下手術を中心とした集学的治療戦略と成績

[演者] 二宮 致:1
[著者] 岡本 浩一:1, 伏田 幸夫:1, 尾山 勝信:1, 木下 淳:1, 高村 博之:1, 田島 秀浩:1, 牧野 勇:1, 宮下 知治:1, 太田 哲生:1
1:金沢大学 消化器・腫瘍・再生外科

【目的】現在病期II・III進行食道癌に対しては,術前化学療法後の外科手術が治療法の第一選択とされている.当科では側臥位による胸腔鏡下手術を進行癌にも適応拡大し,T4症例を含む病期IV症例も術前化学療法で腫瘍の縮小化を図り,切除可能と判断されれば積極的に鏡視下に切除し,非根治症例は術後化学放射線療法を併用する集学的治療を行ってきた.今回進行食道癌に対する側臥位胸腔鏡下食道切除を中心とした集学的治療法の治療成績を供覧し,その有用性を検討する.【方法】進行食道癌症例に対しては術前化学療法を施行した後,側臥位胸腔下食道切除術を施行した.術前化学療法としては2008年から FPを用い,2011年からは病期III以上症例には DCFを行った.郭清操作では人工気胸と助手の気管鈎による肺・気管の圧排牽引のもと,両側反回神経周囲,気管・大動脈周囲の徹底郭清を施行した.R12症例に対してはTXT併用化学放射線療法を追加した.【成績】2003年1月より2016年11月までに225例の胸部食道癌症例に鏡視下手術を行った.そのうち病期II以上の進行食道癌は154例であった.開胸移行5例であり 149例(96.1%)に鏡視下手術を完遂し,そのうち根治切除は123例であった.術前化学療法は88例(FP:45例 DCF:43例)に施行し切除困難症例に対する導入化学療法は21例に施行した.その結果病期IV 48例中23例で治癒切除可能であった.非根治手術となった29例中19例には,遺残部位に術後化学放射線療法を加えた.手術関連死亡は 3例(1.9%)であり再発は根治術48/125例(38.4%)非根治術26/29例(89.6%)にみられ根治手術後の病期別再発率はstage II(9/53例): 17.0%,III(28/49例): 57.1%,IV(11/23例): 47.8% であった.再発後も肺転移・頸部リンパ節転移は可能な限り切除し,深部リンパ節転移には放射線治療を行った.術後全5年生存率は,根治手術例stage II: 70.4%,III: 57.0%,IV: 65.1%,非根治手術 8.3%であり治癒切除可能であれば高度進行癌においても良好な予後が得られた. 【結論】進行食道癌に対する術前化学療法後の胸腔鏡下食道切除術は安全に施行可能であり,高度進行症例であっても術前化学療法の奏功と鏡視下の拡大視野によって根治手術が可能であった場合比較的良好な予後が期待できる.ただし非根治切除となった場合は術後化学放射線療法を追加する集学的治療を行っても予後の改善はみられないためより強力な術前療法の開発が望まれる.
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