演題

RS3-155-15-3

大腸癌肝転移切除後の再発リスク因子の検討と治療戦略

[演者] 田中 宏典:1
[著者] 鈴木 伸明:1, 坂本 和彦:1, 友近 忍:1, 徳久 善弘:1, 武田 茂:1, 吉野 茂文:2, 硲 彰一:3, 上野 富雄:1, 永野 浩昭:1
1:山口大学大学院 先端分子応用医科学講座(消化器・腫瘍外科学), 2:山口大学附属病院 腫瘍センター, 3:山口大学医学部 先端がん治療開発学

【目的】大腸癌肝転移に対する肝切除の予後改善効果は高く,さらに近年の化学療法の進歩によりConversion症例も増加傾向にある.その一方で,依然として肝切除後の再発症例は一定頻度認められる.今回,当科における大腸癌肝転移切除症例の予後と再発リスク因子について検討した.
【対象と方法】2004年1月から2015年12月までに当科で初回肝切除を施行した大腸癌肝転移59例を対象とした.基本的治療方針として,異時性転移に対しては肝切除先行,同時性肝転移に対しては術前補助化学療法 (NAC)を施行してきた.なお,追跡期間の中央値は2年4ヵ月 (3ヵ月~8年4ヵ月) であった.
【結果】男性32例,女性27例,年齢の中央値は65歳 (38-79歳) であった.異時性19例,同時性40例,分布は片葉39例,両葉20例,肝転移個数の中央値は2 (1-12),肝転移最大径の中央値は33mm (7-113mm),H1 / H2 / H3 : 34 / 22 / 3例,肝転移Grade A / B / C : 25 / 18 / 16例であった.術式の内訳は,葉切除16例,区域切除10例,亜区域切除6例,部分切除術が27例で,50例でCur Bを得た.全切除例の肝切除後の3年無再発生存率は21.9%,3年生存率は63.3%,5年生存率は51.3%であった.41例 (69.5%) に再発を認め,30例 (50.8%)に残肝再発,21例 (35.6%)に肺再発を認めた.このうち残肝再発10例に再肝切除,肺再発2例に肺切除術を行った.再発リスク因子について単変量解析を行ったところ,同時性肝転移,原発巣リンパ管侵襲 (ly2 / ly3),原発巣リンパ節転移 (N2 / N3),肝切除前CA19-9高値 ( > 37.0 ng/dl) で有意に再発が多かった.多変量解析では,原発巣リンパ管侵襲 (ly2 / ly3) (HR 2.123,95% C.I. 1.174-3,778,p=0.013) と肝切除前CA19-9高値 ( > 37.0 ng/dl) (HR 2.010,95% C.I. 1.048-3,850,p=0.036) が独立した再発リスク因子であった.KRAS変異については,野生型が27例,変異型が17例,不明15例で,その予後に差を認めなかった.
【結語】積極的な肝切除と化学療法による良好な5年生存率が得られており,現在の集学的治療の意義は示された.その一方で,肝切除前CA19-9高値,原発巣リンパ管侵襲例では再発リスクが高く,今後の検討課題であると考えられた.
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