演題

RS3-155-15-2

大腸癌同時性肝転移の原発,転移巣同時切除における合併症と予後 多施設共同研究における検討

[演者] 中居 卓也:1
[著者] 竹山 宜典:1, 上野 昌樹:2, 野見 武男:3, 石崎 守彦:4, 海堀 昌樹:4, 廣川 文鋭:5, 林 廣道:5, 伊藤 得路:6, 久保 正二:6
1:近畿大学医学部 肝胆膵, 2:和歌山県立医科大学医学部 外科学第二教室, 3:奈良県立医科大学医学部 消化器外科・小児外科・乳腺外科学, 4:関西医科大学医学部 外科学, 5:大阪医科大学大学院 一般・消化器外科学, 6:大阪市立大学大学院 肝胆膵外科学

大腸癌同時性肝転移において大腸癌ガイドラインでは原発,転移巣ともに切除可能であれば同時切除も許容されている.また,多発肝転移であれば術前化学療法も行われるようになってきた.今回,同時切除による術後合併症リスクと予後を解析し,特に両葉多発肝転移の適応を検討した.
【方法】関西6大学で2000年以降,大腸癌肝転移に対して同時切除を受けた172例を対象とし,同時切除を適応しやすい単発転移(90例)と手術侵襲が高まると考えられる両葉多発転移(82例)に分類した.それぞれの合併症リスク因子として年齢,性,原発巣,組織型,深達度,リンパ転移,肝転移サイズ,術前Alb,CRP,CEA,CA19-9,術前化療,ICGR15,拡大肝切除(クイノ-3亜区域以上),プリングル法,手術時間,出血量を用いて解析した.また,無再発生存(DFS)と累積生存(OS)の予後因子も比較検討した.
【結果】Clavian-Dindo 2を超えた合併症は単発群:17例(18.8%),多発群:25例(30.5%)と多発群に多く認められた.合併症に関わるリスク因子は単発群:原発巣のリンパ節転移(H.R3.19 p=0.05)のみで,多発群:単変量で肝転移サイズ>5cm,拡大肝切除,術前化療の実施,多変量で術前化療(H.R 3.13 p=0.08)となった.予後因子は単発群:DFSでCEA≥ 50ng/mL(H.R 2.66 p=0.01),OSで原発巣のリンパ節転移(H.R 2.04 p=0.06)となり多発群:DFSではなく,OSでCRP>0.675mg/dL(H.R 22.23 p<0.001)となった.合併症の有無は単発群,多発群ともに予後と関わらなかった.
【考察】両葉多発肝転移は単発肝転移と比較すれば術後合併症の発生率は高く術前化学療法が合併症リスクとなるため,化療を実施した場合の同時切除の適応は慎重にすべきである.しかし合併症自体が予後には影響せず,たとえ多発肝転移であっても二期切除を適応する必要はないと考えられた.
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