演題

RS3-155-15-1

当院における大腸癌肝転移に対する腹腔鏡下肝切除術の安全性と成績

[演者] 大村 仁昭:1
[著者] 武田 裕:1, 桂 宜輝:1, 阪本 卓也:1, 村上 剛平:1, 内藤 敦:1, 賀川 義規:1, 竹野 淳:1, 加藤 健志:1, 田村 茂行:1
1:関西労災病院 外科

【目的】腹腔鏡下肝切除は2010年4月に保険収載され,2016年4月には適応拡大された.大腸癌診療ガイドラインではStageⅣ大腸癌の治療方針として根治切除可能な肝転移には肝切除が推奨されている.一方,内視鏡外科診療ガイドラインでは腹腔鏡手術を行うことを考慮してもよいが,十分な科学的根拠はないとされている.当院における大腸癌肝転移に対する腹腔鏡下肝切除術を検討した.
【方法】2010年6月から2016年8月までに施行した413例の腹腔鏡下肝切除の中の大腸癌肝転移89例を検討した.
【成績】患者背景は,年齢66.4±12.6歳,性別男/女49/40,Child-Pugh(A/B/C)88/1/0,肝障害度(A/B/C)82/7/0,Hr0/S/1/2は64/2/17/6,完全鏡視下/腹腔鏡補助下85/4,単発/複数53/36,初回/再肝切除74/15,同時/異時9/80.手術時間361.6±163.6分,出血量121.9±239.2g,術後在院日数18.6±23.0日.合併症は後出血0例,胆汁瘻7例,SSI15例,術関連死亡,在院死亡例は無かった.単発/複数では,手術時間293.8±128.9/461.4±159.2分(p<0.0001),出血量71.3±145.9/196.4±320.3g(p=0.0146),術後在院日数15.5±19.7/23.3±26.7日(p=0.1196),合併症は後出血0/0(ns),胆汁瘻3/4(p=0.3538),SSI6/9(p=0.0907).初回/再肝切除では,手術時間57.4±157.1/3822.5±197.2分(p=0.5901),出血量108.0±204.4/190.5±368.2g(p=0.2249),術後在院日数19.5±24.4/14.5±14.1日(p=0.4511),合併症は後出血0/0(ns),胆汁瘻6/1(p=0.8500),SSI12/3(p=0.7211).同時/異時では,手術時間268.9±77.5/372.1±167.6分(p=0.031),出血量57.0±66.4/129.2±250.5g(p=0.3936),術後在院日数41.3±31.4/16.1±20.6日(p=0.0014),合併症は後出血0/0(ns),胆汁瘻1/6(p=0.7028),SSI5/10(p=0.0011).肝切後の中期成績は,3年無再発生存率で23.6%,3年生存率で72.4%であった.
【考察】大腸癌肝転移に対する腹腔鏡下肝切除は複数病変でも安全に施行可能であり,再発肝切除は初回肝切除と同等に施行可能であった.しかし大腸癌原発巣と同時肝切除はSSI発生率が高く推奨されないと考えられた.また肝切除後の5年生存率は35~58%と報告されており,腹腔鏡下肝切除はこれに劣らない治療成績であり治療選択として検討されるべき術式と考えられた.
【結語】大腸癌肝転移に対する腹腔鏡下肝切除は,複数肝切除でも再肝切除でも安全に施行可能であるが,大腸癌原発病巣との同時肝切除は推奨されないと考えられた.
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