演題

RS3-154-15-6

大腸癌肝肺同時性転移症例の治療成績

[演者] 山川 雄士:1
[著者] 絹笠 祐介:1, 塩見 明生:1, 山口 智弘:1, 賀川 弘康:1, 坂東 悦郎:2, 寺島 雅典:2, 杉浦 貞一:2, 上坂 克彦:2
1:静岡県立静岡がんセンター 大腸外科, 2:静岡県立静岡がんセンター 消化器外科

【背景と目的】大腸癌肝肺同時性転移は,肝,肺両病変の切除により予後が延長する可能性がある.
可能であれば積極的に切除を試みる意義はあると思われるが,適切な症例選択のためのエビデンスはいまだに不十分である.
そこで当院における大腸癌肝肺同時性転移症例の治療成績と予後規定因子を明らかにすることを目的に以下の検討を行った.

【対象・方法】2002年2月から2013年12月までに当院にて経験した大腸癌肝肺同時性転移症例99例を対象とした.検討項目は,1) 対象症例の患者背景因子,2) 大腸癌肝肺同時性転移症例の治療内容,成績,3) 大腸癌肝肺同時性転移症例の予後規定因子とした.
【結果】年齢中央値は65歳 (36-90歳),性別は男/女:60/39,原発巣は結腸/直腸:66/33であった.治療前のCEA中央値は154.8ng/ml(1.2-20835ng/ml),深達度はcT2/T3/T4a/T4b:2/48/38/11,リンパ節転移はcN0/N1/N2:7/32/60であった.肝転移の最大腫瘍径は5.0cm(1.0-16.0cm),個数中央値は6個(1-16個),H因子はH1/2/3:24/26/49であった.肺転移の最大腫瘍径は2.0cm(0.5-8.0cm),個数中央値は4個(1-18個),PUL因子はPUL1/2:34/65であった.
初回治療は化学療法群(原発巣の症状にて人工肛門造設術を先行した12例を含む)が40例,原発巣切除が59例であった.原発巣切除症例のうち,原発巣の症状改善のための姑息的切除施行群が43例,原発巣・遠隔転移巣ともに切除可能と判断し根治切除を目指した症例(根治切除可能群)が16例(原発巣・遠隔転移巣ともに切除できた症例は10例)であった.
全対象症例の5年全生存率は11.6%,生存期間中央値は22.8か月であった.
初回治療別の治療成績は,化学療法:MST15.6か月,姑息的切除施行群:MST20.3か月,根治切除可能群:5年生存率は70.7%であった.
大腸癌肝肺同時性転移症例の予後規定因子は,単変量解析でCEA,肝転移腫瘍径50mm以上,肝転移6個以上,H3,肺転移4個以上,両側肺転移とPUL2であり,多変量解析の結果,肝転移6個以上,肺転移4個以上が有意な予後規定因子として抽出された.

【結語】大腸癌肝肺同時性転移症例の治療成績について検討した.予後規定因子として肝転移6個以上,肺転移4個以上が抽出された.大腸癌同時性肝肺転移症例において,原発巣と肝肺転移巣ともに根治切除可能と判断した症例では5年生存率は70.7%であり,根治切除可能と判断すれば,積極的な切除を推奨することは妥当と考えられる.
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