演題

RS3-154-15-2

当科における大腸癌腹膜播種の治療成績の検討

[演者] 勝見 ちひろ:1
[著者] 野上 仁:1, 八木 亮磨:1, 丸山 聡:1, 瀧井 康公:1, 番場 竹生:1, 曾澤 雅樹:1, 松木 淳:1, 野村 達也:1, 中川 悟:1
1:新潟県立がんセンター新潟病院 消化器外科

【目的】腹膜播種を伴う大腸癌の治療成績を解析し,手術方針の妥当性について検討する.
【当科の治療方針】他臓器転移のないP1,P2症例には根治切除を行う.他臓器転移を認めても腹膜播種を含めて2臓器までの転移で切除可能であれば根治切除を行う.2003年以降,腹膜播種根治切除例と細胞診陽性症例を対象に微高温大量洗浄(約43℃,蒸留水 2000ml,生食5000ml) を行っている.
【対象】1998年から2014年までに当科で手術が施行された,腹膜播種を伴う初発大腸癌111例(P群.うちCur Bが得られた34例:PB群)と腹膜播種を認めず術中腹水細胞診陽性と診断された初発大腸癌35例(Cy群.うちCur Aが得られた20例:CyA群).
【方法】対象症例の術前腫瘍マーカー値,腹膜播種の程度,切除不能病変の有無,原発巣切除の有無,手術根治度,微高温洗浄の有無などにつき,生存期間を比較検討した.累積生存率はKaplan-Meier法にて算出し,Logrank検定にて判定した.P<0.05を もって有意差ありと判定した.
【結果】P群は男性49例,女性62例,平均年齢64.4歳.P1/P2/P3=38例/28例/45例.右側結腸/左側結腸/直腸=46例/48例/17例.KRAS遺伝子はwild/mutant/未実施=23例/19例/69例.生存期間中央値15.2ヵ月.術前CA19-9高値,低分化腺癌,腹膜播種の程度,Cy,原発巣切除の有無,手術根治度で生存期間に有意差を認めた.
Cy群は男性16例,女性19例,平均年齢66.5歳.右側結腸/左側結腸/直腸=16例/11例/8例.生存期間中央値21.0ヵ月.
肉眼的に腫瘍の遺残がないPB群とCyA群の比較では,5年生存率はぞれぞれ32.5%と39.1%であり有意差を認めなかった(p=0.240).同症例を対象にして微高温腹腔内洗浄の有無で生存期間を比較すると,5年生存率は洗浄群(27例)で39.7%,非洗浄群(27例)で29.2%であり洗浄群がやや生存率が良い傾向はみられたが,統計学的有意差は認めなかった(p=0.092).
P2,P3でも播種巣を切除してCur Bを得られた症例の中には,5年以上生存した症例も散見された.
【結論】腹膜播種を認めても,肉眼的にすべての病巣の切除が可能(Cur B)であればP0Cy1(Cur A)症例と同等の生存期間を期待することができ,長期生存例も認めたため,積極的に播種巣を切除することには意義があると思われた.また,肉眼的遺残がない症例において微高温腹腔内洗浄を行うことが生存期間に影響を与える可能性については今後も検討を重ねたい.
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