演題

RS2-72-11-5

残胃癌の臨床病理学的検討と脾摘の意義

[演者] 久保 僚:1
[著者] 佐々木 欣郎:1, 倉山 英豪:1, 里村 仁志:1, 大塚 吉郎:1, 宮地 和人:2, 小野寺 真一:2, 中島 政信:1, 山口 悟:1, 加藤 広行:1
1:獨協医科大学病院 第一外科, 2:獨協医科大学日光医療センター 外科

【背景】胃癌の治療成績の向上と高齢化に伴い残胃癌の増加が予想される.残胃癌治療の標準化は今後の重要な課題と考えられ,残胃癌切除症例を臨床病理学的に検討した.
【対象と方法】2000年1月から2016年11月までの胃癌手術症例1286例のうち,残胃癌症例37例を対象とした.初回病変が良性の18例(以下B群)と悪性の19例(以下M群)に分類して検討し,脾摘に関する検討も行った.
【結果】初回再建法はB群でB-I:B-II=9:9,M群ではB-I:B-II:R-Y=15:3:1でありB群でB-II再建が多かった.初回手術からの介在期間(中央値)はB群で35.9年とM群の24.5年より長かったが有意差は認めなかった(p=0.788).平均年齢はB群64.3(61-85)才,M群67.5(60-87)才であり,両群とも男性が多かった.StageはB群ではI:II:III:IV=4:3:7:4でM群はI:II:III:IV=9:4:2:4であり,B群でより進行した症例が多く,5年生存率はB群が48.4%,M群では58.5%であり有意差は認めなかった(p=0.78).癌の局在をB-I再建(24例)とB-II再建(12例)で比較したところB-I再建では非断端部(16例)に多いのに対し,B-II再建では吻合部(8例)に多かった.脾摘を行った15例(S群)の手術時間(中央値)は217分であり脾摘を行わなかった23例(NS群)の213分と有意差は認めなかった(p=0.55).S群の出血量(中央値)は869mlでありNS群の352mlより有意に出血量が多かった(p<0.001).術後合併症はS群の11例(73%)に認められ,NS群の7例(30.4%)より多い傾向にあった.S群の生存日数(中央値)は907日であり,NS群の932日と有意差を認めなかった(p=0.56).脾摘を行った症例のうちNo.10リンパ節陽性4例の生存日数(中央値)は881日であり,No.10リンパ節陰性11例の935日と有意差はなかった(p=0.79).
【まとめ】初回良性疾患の残胃癌は進行癌が多かったが介在期間が30年以上と長いため長期のサーベイランスが重要と思われる.脾摘(No.10郭清)を伴う残胃癌手術は出血が多く術後合併症も高率であり生存期間に寄与しないため,集学的な治療戦略が必要であることが示唆された.
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