演題

RS2-72-11-4

進行残胃癌における脾門部リンパ節郭清の検討

[演者] 吉田 弥正:1
[著者] 石田 道拡:1, 久保田 哲史:1, 三宅 聡一郎:1, 丁田 泰宏:1, 井谷 史嗣:1, 塩崎 滋弘:1, 岡島 正純:1
1:広島市立広島市民病院 外科

【背景】JCOG0110の結果により,大弯線上に病変がない上部進行胃癌に対しては脾臓摘出術の有効性は否定されている.一方残胃癌においてはその意義は不明である.今回当院において残胃癌に対する脾門部リンパ節郭清の有効性を検討した.
【方法】2001年1月から2015年12月までに,当院で残胃癌に対して手術を施行した75症例のうち,脾門部リンパ節を郭清した残胃癌24例を対象とし,その治療成績を検討した.また大弯線上の病変の有無別に分類しリンパ節転移を検討した.
【結果】24例の内訳は,男性18例,女性6例,年齢中央値69歳(40-82歳),初回胃切除対象病変は良性7例,悪性17例,残胃癌と診断されるまでの期間中央値は16年(1-45年)で,初回手術はDG19例,PPG4例,PG1例,残胃癌の占拠部位はAnt1例,Gre3例,Less11例,Post5例,Circ4例,残胃癌の存在部位は断端吻合部(A)12例,断端縫合部(S)8例,非断端部(O)4例であった.施行術式は,全例で残胃全摘が施行され,脾摘21例,膵尾部切除2例.病理学的所見は分化型12例,未分化型12例,深達度M;2例,SM;2例,MP;2例,SS;9例,SE;6例,SI;3例,リンパ節転移陽性7例,リンパ節転移陰性17例であった.再発症例は9例で,腹膜播種5例,肝1例,肺1例,左鎖骨上リンパ節1例,膵頭部1例,腸管膜リンパ節1例,骨1例(重複;2例)であった.
症例を大弯線上にかかる病変(G)7例と大弯線上にかからない病変(N)17例に分けて検討すると,G群とN群において,初回手術で小弯側リンパ節郭清した症例はG;5例(7例中), N;10例(17例中)で両群に差を認めなかった.No.10リンパ節および,大弯側で近接するNo.4sa, 4sb, 11dリンパ節転移は,No.10(G:N;0例:1例), 4sa(G:N;2例:3例) 4sb(G:N;1例:1例), 11d(G:N;1例:1例)であり,両群に差を認めなかった.
No.10リンパ節転移陽性例は, 初回手術が悪性腫瘍に対する幽門側胃切除後であり,小弯側リンパ節が郭清されていた.大弯にかからない非断端部小弯を主座とする残胃癌であったが,No.2, 4sa, 8p, 11dにもリンパ節転移を認め,初回手術の小弯側リンパ節郭清によるリンパ流変更の影響が示唆された.
【考察】残胃癌では大弯にかからない進行胃癌であっても大弯リンパ節およびNo.10リンパ節に転移する症例もあり,進行残胃癌では脾臓摘出術を検討する必要があることが示唆された.郭清効果についてはさらなる症例の検討が必要である
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