演題

RS2-71-11-6

残胃癌に対する腹腔鏡下残胃全摘術の短期成績による検討

[演者] 柴田 賢吾:1
[著者] 川村 秀樹:1, 大野 陽介:1, 市川 伸樹:1, 吉田 雅:1, 本間 重紀:1, 高橋 昌宏:1,2, 武冨 紹信:1
1:北海道大学大学院 消化器外科学分野Ⅰ, 2:札幌厚生病院 外科

【諸言】近年胃癌に対する腹腔鏡下手術の適応が拡大され,進行癌や胃全摘症例の報告が散見される.しかし,残胃癌に対する腹腔鏡下胃全摘術は技術的に難易度が高いため報告は少なく,その安全性は確立されていない.当科では,2007年より残胃癌に対しても腹腔鏡下手術を適応している.
【目的】残胃癌に対しての開腹残胃全摘術と腹腔鏡下残胃全摘術の短期成績を後ろ向きに比較し,腹腔鏡下手術の安全性と妥当性を検討した.
【対象と方法】2003年から2016年の間に施行された残胃癌症例において開腹残胃癌全摘術(ORG)を施行した群16例,腹腔鏡下残胃全摘術(LRG) を施行した群14例を対象とし手術時間,出血量,術後合併症,術後の1週間のバイタル変動,血液検査結果,術後在院日数を検討項目とし両者の差を比較した.
【結果】ORG群とLRG群において,性別,BMI,ASA,進行度,幽門側胃切除時の再建方法に有意差はなかった.一方,年齢(76.2 / 66.0歳 p<0.001)は有意差をもってLRGが低かった.術後合併症数(2/14(14.3%) / 4/16(25%) 例 p=0.464),手術時間(228.8 / 281.6分 p=0.142)は有意差はなかったが,出血量は有意差にLRG群は少なかった(292 / 79ml P=0.0023).術後7日間のバイタル変動は,術後6日目の収縮期血圧がLRG群が低かった(145/129mmHg P=0.039).その他の期間の収縮期血圧,脈拍数,体温に差はなかった.術後1,4,7日目の採血検査結果において,術後1日目の総蛋白値がLRG群で有意に高かった(5.3 / 5.7 g/dl p=0.03).白血球数,CRP値,アルブミン値に差はなかった.術後在院日数は有意にLRG群が短かった(21.9 / 14.9 日 p=0.02).
【結語】残胃癌に対する腹腔鏡下残胃全摘術の短期成績は開腹手術と比較して遜色なかった.長期成績(再発率,死亡率等)の検討を行う必要があるが,腹腔鏡下残胃全摘術は残胃癌の治療の選択肢と成り得ると考えられた.
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