演題

RS2-71-11-5

残胃癌に対する残胃亜全摘術の検討

[演者] 大西 敏雄:1
[著者] 木南 伸一:1, 三浦 聖子:1, 藤田 純:1, 甲斐田 大資:1, 富田 泰斗:1, 藤田 秀人:1, 中野 泰治:1, 上田 順彦:1, 小坂 健夫:1
1:金沢医科大学医学部 一般・消化器外科学

【背景と目的】残胃癌は予後不良で,初回手術におけるリンパ流の改変も重要な要素であるため,切除術の基本は残胃全摘術である.しかし残胃全摘術は侵襲も大きく,食事量の低下から術後ADLの低下を招く可能性が無視できない.また胃外科術後障害研究会の全国アンケートでは残胃早期癌の96%がリンパ節転移陰性であった.そこで,症例によっては,噴門を温存し遠位側残胃を切除する残胃亜全摘術も許容されよう.当院での残胃の癌の外科的切除例を検討し,残胃亜全摘術の意義と実際を解析した.【対象と方法】2008年1月から2016年11月までの間に当科で切除した残胃の癌16例を対象に,臨床病理学的因子・術式・入院期間・予後を検討した.【結果】16例の内訳は,男性14例:女性2例,平均年齢77歳(62-88)であった.初回胃切除の理由は,胃十二指腸潰瘍10例・胃癌6例で,初回手術の再建法はBillroth I法5例・II法11例,初回胃切除からの期間は中央値84(17-696)月であった.16例に対し,8例に残胃亜全摘術を,8例に残胃全摘術を行った.亜全摘を選択した理由の内訳は,80歳以上高齢者に対する姑息手術が4例,吻合部近傍の小さな早期癌が2例,腹膜転移陽性例の姑息切除が1例,肺癌脳転移症例に対する姑息切除が1例である.平均手術時間は亜全摘が306分,全摘術で299分であった.平均出血量は,亜全摘・全摘でそれぞれ105ml・179mlであった.入院期間は,亜全摘術が全摘術に比較し6日間短かった.16例中8例が早期癌で,亜全摘4例・全摘4例,すべてリンパ節転移陰性で,亜全摘の1例を他病死で失ったがほかは生存中である.一方で進行癌は8例で亜全摘4例・全摘4例,全摘の1例を腹膜転移再燃で,1例をリンパ節転移増悪で失い,亜全摘の1例を腹膜転移増悪で,1例を他癌で失った.根治切除しえた亜全摘2例からは再発はない.【結語】当科の症例では,残胃亜全摘の選択が非治癒や再発を惹起することはなかった.残胃亜全摘は,リンパ節郭清が不十分になる欠点を有し,適応症例は限定的ではあるが,しかし,高齢者や早期残胃癌に対する縮小手術・過進行残胃癌に対する緩和手術として,考慮されてもよい術式と考えられた.
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