演題

RS2-71-11-4

当院における残胃癌およびU領域初発胃癌手術症例の検討

[演者] 松永 知之:1
[著者] 齊藤 博昭:1, 河野 友輔:1, 村上 裕樹:1, 黒田 博彦:1, 福本 陽二:1, 尾崎 知博:1, 前田 佳彦:1, 蘆田 啓吾:1, 藤原 義之:1
1:鳥取大学医学部 病態制御外科学

【はじめに】
残胃癌のステージングや治療方針は胃癌取扱い規約や胃癌治療ガイドラインにも記載されておらず重要な検討課題である.特に,残胃癌の予後を正確に予測することは治療方針決定のために極めて重要である.そこで,残胃癌の臨床病理学的特徴や予後予測因子を同定することを目的に検討を行った.
【対象】
1990年から2014年までに当科で根治手術を施行した残胃癌49例(初回手術が幽門側胃切除術)と同時期に根治手術を施行したU領域に主座を持つ初発胃癌214例を比較検討した.
【結果】
1. 残胃癌はU領域胃癌に比べて有意に高齢で(p=0.002),男性に多く(p=0.041), BMIが低値であった(p<0.0001).
2. R0症例の5年生存率は残胃癌57.9%,U領域胃癌76.2%と残胃癌症例において有意に予後不良であった(p=0.094).
3. Stage別では残胃癌およびU領域胃癌の5年生存率はStage I:73.3%,85.7%, Stage II:38.5%,68.8%,Stage III:50.0%,46.9%であり,StageⅡでは残胃癌症例で有意に予後不良であった(p=0.035).再発形式ではStageⅡ残胃癌症例で血行性再発が有意に高率であった(p=0.030).
4. 多変量解析を行ったところ,残胃癌では深達度とBMIが有意な独立予後因子であった.一方でU領域胃癌では年齢,深達度,リンパ節転移が有意な独立予後因子であった.
5. 残胃癌症例でROC解析を行ったところ,20.6がBMIの至適カットオフ値であった(AUC 0.746,p=0.0031).そこでBMIと深達度(T1/T2以深)を組み合わせて予後を検討したところ,5年生存率はBMI高値/T1 90%,BMI低値/T1またはBMI高値/T2以深 68.9%,BMI低値/T2以深 33.8%とBMI低値進行残胃癌では有意に予後不良であった(p=0.0001).
【まとめ】
残胃癌症例では,リンパ節転移が予後因子とならなかった,これは初回手術時にすでにリンパ節郭清が行われている症例が多く含まれている影響と考えられた.一方で栄養状態を反映するBMIが独立した予後予測因子であり,深達度とBMIを用いて正確な予後予測が可能であった.特にBMI低値進行残胃癌では予後不良で,予後向上のためには集学的治療が必要と考えられた.
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