演題

RS2-71-11-3

残胃癌に対する治療方針

[演者] 谷口 清章:1
[著者] 山田 卓司:1, 天野 久仁彦:1, 芹澤 朗子:1, 小竹 将:1, 太田 正穂:1, 瀬下 明良:1, 山本 雅一:1
1:東京女子医科大学病院 消化器外科

はじめに;
残胃癌は,初回手術時の病変,切除範囲,再建法などを問わず,再発癌の可能性のある症例を含めて,胃切除後の胃に発生したと考えられる胃癌と胃癌取扱い規約第14版で規定され,様々な要因,経過のものが含まれる.そのため初発胃癌ガイドラインに準拠した治療を基軸に,個別治療が必要と考え,当院では以下の治療方針に準じ治療を行っている.
1)残胃早期癌に対しESD適用症例,相対的適応症例に対しESD施行.適応外病変に対し腹腔鏡下胃切除を施行.
2)進行癌に対し術前化学療法後開腹術.根治切除不能進行癌に対し腹腔鏡下消化管バイパス,腸瘻などの姑息的手術後化学療法導入.
そこで今回,2003 年1月~2014年12月まで当科において施行された胃癌切除1491例中,切除された残胃の癌53例(3.6%)と内視鏡的切除1090例中残胃癌に対しESDを行った38例(3.5%)を対象に,治療方針の妥当性と問題点を検討する.
結果;
1) 残胃癌に対するESD施行38例中穿孔のため手術を行った症例は2例(5.2%)だった.
2) ESD施行例のうち適応外病変のため追加切除を行った症例は2例(5.2%)だった.
3) 残胃癌に対し手術を行った53例中m癌は5例であった.また,1例に腹腔鏡下胃切除を行った.
4) 手術症例のうち初回胃切除の病変が良性疾患のものは21例,悪性疾患のものは31例,不明のものは1例であった.
5) 初回手術からの期間は,初回良性のものは平均37.1年,初回悪性は平均13年であった.
6) 初回悪性31例中,残胃進行癌は16例(51.6%)であった.平均リンパ節郭清個数は22.4±10.5個であった.リンパ節転移陽性率は10例62.5%)で,旧規約1郡リンパ節のみであった.
7) 初回悪性31例中ビルロートⅡ法再建2例に拳上空腸間膜リンパ節転移を認めた.
8) 根治切除不能進行癌に対し腹腔鏡下消化管バイパスを行った症例は1例,腸瘻造設を行った症例は3例であった.

まとめ;残胃は術後瘢痕や,小胃腔内での死角などにより深達度診断が困難な場合がある.ESD絶対適応がある症例に対し手術を選択されていた.また,内視鏡治療に際して穿孔のリスクが高くなり,緊急手術例も経験した.一方初回悪性群で10年経過した残胃進行癌のリンパ節転移は所属リンパ節であったが,再建によっては空腸間膜リンパ節転移も認めた.

結語;残胃癌に対しては初発胃癌ガイドラインに準拠した治療は可能であるが,残胃の特徴を十分考慮し治療を選択することが重要だと考える
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