演題

RS2-71-11-1

当院における残遺癌に対する胃切除術の治療成績

[演者] 山北 伊知子:1
[著者] 加納 幹浩:1, 河毛 利顕:1, 黒川 知彰:1, 北川 浩樹:1, 大澤 真那人:1, 木村 優里:1, 箱田 啓志:1, 檜原 淳:1, 平林 直樹:1
1:広島市立安佐市民病院 外科

【はじめに】近年胃癌術後の生存率の改善に伴い残遺癌の症例は増えているが,その臨床病理学的特徴の解明は十分とはいえず,ガイドライン上も治療方針は明確化されていない.
【対象】1996年から2016年2月までに当院で胃切除術を施行された残遺癌56例の臨床病理学的特徴と予後について検討した.
【結果】56例のうち,男性;40例,女性;16例,年齢中央値は72.5歳(40-88歳).初回手術から2回目手術までの期間中央値;14年(11-58年),初回手術の診断が悪性;36例,良性;10例,不明;10例.2回目手術の術式は胃全摘;51例,胃亜全摘;3例,分節切除;2例.早期癌;17例,進行癌;39例,リンパ節転移陽性;19例,病理病期はStage I (IA, IB);28例,Stage II (IIA, IIB);10例,Stage III (IIIA, IIIB, IIIC);15例,Stage IV;3例(胃癌取扱い規約第14版).観察期間中,22例に再発を認め,18例に癌死を認めた(観察期間中央値42.5ヶ月).56例全体の5年生存率は62.9%で,病期別にみるとStage I;87.4%,Stage II;87.5%,Stage III, IVでは5年生存症例を認めなかった.残遺癌は通常の胃癌と比べて予後が不良であるという報告も多いが,本検討ではStage IIまでは良好で,Stage III以降急激に悪化する特徴があった.この理由としては,深達度別リンパ節陽性率をみると,T1(M, SM);6%,T2(MP);15%,T3(SS);37%,T4(SE, SI);72%と,T1-T3までは通常の胃癌よりリンパ節転移は低率でありこれは初回胃切除により通常のリンパ流が遮断された影響とも考えられる.胃壁深部まで浸潤した癌は通常のリンパ流を無視してより遠位のリンパ節に転移することで途端に予後不良となる可能性が考えられた.T1の5年生存率は100%でありより早期の段階での発見が重要であると考えられた.また,単変量解析の結果,深達度(P<0.0001),リンパ節転移(P<0.0001),分化度(P=0.0089),INF(P<0.0001),間質反応(P=0.0308)が予後因子であった.残遺癌発生部位のうち断端吻合部/縫合部と非断端部を比較すると断端部の残遺癌には進行症例が多く,発生機序の違いや断端部の早期診断の難しさも伺えた.
【考察】残遺癌のリンパ流は初回手術で変化しており,早期発見により通常の胃癌よりも長期生存が期待出来得る.検診レベルでは断端部の十分な観察が重要である.
詳細検索