演題

RS1-25-11-6

胃癌術後患者のQoLを左右する因子-進行度か,術式か,術後障害か?

[演者] 木南 伸一:1
[著者] 大西 敏雄:1, 藤井 頼孝:1, 三浦 聖子:1, 藤田 純:1, 富田 泰斗:1, 藤田 秀人:1, 上田 順彦:1, 中野 泰治:1, 小坂 健夫:1
1:金沢医科大学医学部 一般・消化器外科学

【背景】 胃癌術後には一定の割合で術後障害が発生し,Quality of life (QoL)が損なわれると考えられてきた.しかしその科学的検証は不十分である.QoLは個人の主観的幸福感であるため測定が難しい.またQoLは,胃切除術後障害の他に年齢・性別・腫瘍因子・併存疾患の有無などにも左右される.近年,胃切除術後障害を測定する専用の調査票PGSASが開発された.PGSAS-45はQoL調査票であるSF-8を内包するため,術後障害と同時にQoLの測定が可能である.教室の胃切除術後症例を対象に,胃癌術後患者のQoLを左右する因子を,PGSASを用いて分析した.【対象と方法】2009-2014年の当科胃癌根治切除例を対象に,2016年にPGSAS-45を用いた調査を行った.SF-8はiHopeのライセンス許諾の元に使用した.調査票は別部所である臨床試験治験センターが回収した.調査票を匿名化した後,無再発かつ化学療法施行中でない症例を抽出し試験群とした.SF-8の身体的サマリースコア(PCS)と精神的サマリースコア(MCS)を算出した.またPCS・MCSを左右する因子の検討は,年齢・性別・ステージ・併存症の有無・術式(定型手術か縮小手術か)・体重減少率・一回食事量・PGSAS全体症状スコア・PGSAS生活不満度サブスケールの各項目を用いて重回帰分析(ステップワイズ変数選択減少法)を試みた.【結果】試験群は122例であった.内訳は,平均67歳,男性69例 / 女性 53例,Stage別はI 83 / II 21 / III 15 / IV 3例,術式は定型手術(幽切・全摘) 74 / 縮小手術(PPG・分節・局所切除・噴切) 48例であった.試験群全体のPCSは49.8±6.7,MCSは49.9±7.1と,日本人標準値と差のない結果となった.重回帰分析では,PCSを左右する因子は年齢 (p<0.001)・性別 (p<0.05)・ステージ別 (p<0.05)・全体症状スコア (p<0.001),MCSを左右する因子は全体症状スコア(p<0.05)・生活不満度SS (p<0.001)であった.【結語】根治切除後で無再発生存中の胃癌術後症例のQoLは国民標準値と同等で悪くなかった.PCSは年齢・性別・癌の進行度・術後障害の程度に左右され,MCSは術後障害の程度と生活への支障度に左右された.併存症の有無・術式・一回食事量・体重減少率はQoLには影響しなかった.胃切除後患者のQoLを向上させるには,術後障害を軽減し日常生活への影響を減らす努力が必要である.現行の縮小手術ではQoLの改善は小幅に留まるため,さらなる改良が課題である.
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