演題

RS1-25-11-3

BMI25以上(Overweight)の胃癌患者に対しての幽門保存をする意義はあるのか?

[演者] 辻浦 誠浩:1
[著者] 比企 直樹:1, 大橋 学:1, 布部 創也:1, 熊谷 厚志:1, 井田 智:1, 奥村 康弘:1, 佐野 武:1, 山口 俊晴:1
1:がん研究会有明病院 消化器外科

【背景・目的】胃中部の早期胃癌に対しての縮小手術である幽門保存胃切除術(PPG)は,幽門を温存することによるダンピング症候群や胆汁逆流の防止が目的とされる術式であり,術後のQOL向上や体重・栄養状態の維持などがPPGに期待されるメリットである.一方,胃切除後の体重減少はしばしばみられることであるが,過体重や肥満状態の胃癌患者に,術後の体重維持が期待されるPPGを行うべきかどうかという疑問が生じうる.今回,胃癌患者の術後の体重変化と栄養状態について調査を行い,BMIが高い症例に対する幽門温存の意義について検討する事を目的とした.
【方法】2006年から2012年までのcT1N0の胃癌患者に対してPPGまたは幽門側胃切除術(DG)を施行した1131例を対象とした.これらの対象を,術式(PPG or DG)と術前のBMI(25未満 or 25以上)により4群に分け,術後の体重変化率と血液生化学検査での栄養指標(アルブミン・プレアルブミン・ヘモグロビン)を検討した.
【結果】4群の内訳は,PPG25未満群:381例,DG25未満群:519例,PPG25以上群:84例,DG25以上群:147例となった.BMI25未満でPPGとDGを比較した場合(PPG25未満群 vs. DG25未満群),PPGで術後の体重減少率と血液検査指標で有意に良好であった(体重減少率:PPG:DG=5.9%:8.7%(p<0.001),術後1年目・2年目のアルブミン・プレアルブミン・ヘモグロビン:p<0.05).BMI25以上でPPGとDGを比較した場合(PPG25以上群 vs. DG25以上群),両群で術後の体重減少率に有意差は無かったが(体重減少率:PPG:DG=10.4%:9.9%(p=0.639)),術後2年目のプレアルブミンと術後1年目・2年目のヘモグロビンでPPGが有意に良好であった(p<0.05).
【まとめ】術後の体重減少率は,術式にかかわらず術前のBMIが高い症例で大きい傾向にあった.BMI25以上の症例でのPPG術後体重減少率はDG術後と有意差なく同等であったが,栄養と貧血の状態の点ではPPGがDGより優れていた.BMI25以上の患者に対しても,適応がある場合には,PPGを第一選択とすることが許容されると考えられた.
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