演題

RS1-25-11-1

腹腔鏡補助下幽門保存胃切除と腹腔鏡補助下幽門側胃切除における術後骨格筋の継時的変化の比較

[演者] 田邊 麻美:1
[著者] 愛甲 丞:1, 山下 裕玄:1, 川﨑 浩一郎:1, 大矢 周一郎:1, 三ツ井 崇司:1, 八木 浩一:1, 西田 正人:1, 野村 幸世:1, 瀬戸 泰之:1
1:東京大学大学院 消化管外科学

【背景】加齢などに伴う骨格筋量低下はサルコペニアと呼ばれ,身体機能の制限,骨折転倒リスク増加からさらなる身体活動低下を引き起こすため注目されている.消化器癌においても,サルコペニアの存在が治療成績低下と関連する報告が複数あり,がん治療において軽視できない要素と言える.
胃切除後に体重減少を来すことは知られている事実であるが,体組成の減少する構成成分についての検討は少ない.今回,腹腔鏡補助下幽門保存胃切除術(LAPPG)と腔鏡補助下幽門側胃切除(LADG)を受けた患者を対象に比較検討を行った.LAPPGの方が,比較的食事量・術後体重が保たれるとされるが,骨格筋量維持が得られているかについては不明である.
【目的】LADGと比較しLAPPGの術後骨格筋量変化について検証する.
【方法】2012年1月から2014年10月に当院にてLADGまたはLAPPGを施行した無再発生存患者のうち,多臓器癌合併患者,術後補助化学療法施行患者を除く55人を対象とした.全身の骨格筋量を反映するとされる第三腰椎(L3)レベルの骨格筋面積を身長の二乗で補正したSkeletal Muscle Index(SMI)を測定.術前,術後1年,2年の腹骨盤CTを用いて後方視的に比較検討した.
【結果】術前からの術後1年目,2年目のSMIの変化率(%)は,女性ではLADG(n=12)<中央値(最大値~最小値)>:-2.0(9.7~-13.9),-6.5(8.1~-15.0) LAPPG(n=11):-3.1 (-1.7~-8.7),-3.8 (5.4~-8.8) となった.男性では年齢分布のばらつきを考慮し,70才以上,未満で検討したところ,70歳未満ではLADG(n=5):-4.0(1.9~-36.5),-3.0(1.1~-38.5) LAPPG(n=12):-2.5(2.3~-9.4),-2.5 (4.2~-9.8),70歳以上ではLADG(n=11):-1.1(7.8~-18.4),-2.7(4.9~-27.6) LAPPG(n=4):-5.0(0.8~-21.9),-12.0 (-1.4~-19.4)であった.女性,または70歳未満の男性ではLAPPGの方が術後2年目のSMIが保たれる傾向にあった.以上より,適切な症例を選択することでLAPPGが比較的骨格筋量を保てる術式となり得る可能性が示唆された.
【結語】LAPPGは術後サルコペニア予防の点で有用な術式である可能性がある.
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