演題

RS1-24-11-6

当科における腹腔鏡下胃亜全摘(極小残胃空腸吻合)の術後成績

[演者] 古川 陽菜:1
[著者] 黒川 幸典:1, 田中 晃司:1, 宮崎 安弘:1, 牧野 知紀:1, 高橋 剛:1, 山崎 誠:1, 瀧口 修司:1, 森 正樹:2, 土岐 祐一郎:1
1:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅱ, 2:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅰ

【背景】
胃上部の早期胃癌に対しては,胃全摘,噴門側胃切除または胃亜全摘術のいずれかが選択されるが,至適術式については分かっていないのが現状である.当科では腫瘍口側端が胃上部に位置する病変に対して,できる限り胃を温存した完全鏡視下胃亜全摘術(LsTG)を行っている.今回LsTGの術後成績について,腹腔鏡下胃全摘(LTG),腹腔鏡下噴門側胃切除(LPG)と比較検討したので報告する.
【対象と方法】
2010年1月から2016年7月までにcStage Iの初発胃癌に対して当院で腹腔鏡下手術を施行した389例のうち,LsTG,LTG,LPGを行った115例を対象とした.術後短期成績および術後1,3,6,12か月目の体重変化量,栄養指標(Alb,Hb,PNI変化量),術後1年目の内視鏡所見について後方視的に調査し,LsTG群とLTG群,LPG群で比較検討した.
【結果】
LsTG群(n=38),LTG群(n=50),LPG群(n=27)の年齢中央値は65:63.5:70歳,病期はcStage IA/IB=32/6:42/8:26/1であり,患者背景に有意差を認めなかった.手術時間と出血量の中央値はそれぞれ274:256.5:286分,75:60:90 mlであり有意差を認めなかった.術後合併症(Clavien-Dindo≧Grade II)は,LsTG群vs LPG群で有意差を認めなかったが(10.5% vs. 18.5%, p =0.47),LsTG vs LTG群では有意にLTG群で多かった(10.5% vs. 30%, p =0.037).術後1年目の体重減少量はLsTG:LTG:LPG=4.9:9.3:7.1kgであり,LsTG群と比べてLTG群で有意に大きかった(p <0.001).また術前と比較した術後1年目のAlb,PNIの減少量はLsTG群と比べてLTG群ではいずれも有意差がなかったが,LPG群ではいずれも有意に大きかった(p=0.013, p=0.004).術後1年目の内視鏡検査における逆流性食道炎の割合についてはいずれも有意差を認めなかったが(LsTG, 7.7%; LTG, 6.3%; LPG, 9.1%),残胃炎と胆汁逆流に関してはLsTG群と比較してLPG群で有意に割合が高かった(p=0.021, p=0.023).
【結語】
LsTGはLTGやLPGと比較して,術後の栄養状態や残胃の内視鏡所見が良好である可能性が示唆された.
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