演題

RS1-24-11-3

栄養学的観点から見た噴門側胃切除における再建手技の検討

[演者] 岩槻 政晃:1
[著者] 澤山 浩:1, 問端 輔:1, 古閑 悠輝:1, 馬場 祥史:1, 吉田 直矢:1, 馬場 秀夫:1
1:熊本大学大学院 消化器外科学

【目的】噴門側胃切除術は胃上部早期胃癌に対する縮小手術として位置づけである.機能温存を目的とした術式ではあるが,その再建法については,一定の見解が得られていない.本研究では,噴門側胃切除後の再建法について栄養学的な観点から解析し,その結果に基づいた再建手技の工夫について述べる.
【方法】当科で施行した噴門側胃切除術において,(1)再建方法による栄養学的評価(ダブルトラクト vs. 空腸間置),(2)ダブルトラクト再建における栄養学的評価(術後透視に置ける通過経路による検討),(3)ダブルトラクト再建の工夫 について後方視的に解析した.
【結果】(1) 再建方法による栄養学的評価(ダブルトラクト vs. 空腸間置):同時期に行った噴門側胃切除術において,ダブルトラクト再建を行った28例と空腸間置再建 11例について術後1年目のPNIはダブルトラクト再建群が有意に良好であり,15%以上の体重減少は有意に少なかった.以後は噴門側胃切除の再建はダブルトラクトで統一した.(2)ダブルトラクト再建における栄養学的評価:残胃,空腸いずれも通過するDT群と,いずれかに通過するST群の比較では術後1年の体重減少率,BMI減少量,血清アルブミン低下率,PNIの減少率に有意差は見られなかった.しかし,75歳以上の高齢者群においては,術前と術後1年の血清アルブミン低下率はDT群で有意に低下し,体重に影響は与えないものの,栄養状態には影響を与えた.(3)ダブルトラクト再建の工夫:残胃,空腸ともに通過するように,①残胃前壁への側々吻合,②残胃後壁の癒着剥離は不必要に行わず,剥離した場合は残胃の固定を行うようにしている.
【結論】噴門側胃切除術ダブルトラクト再建は空腸間置法と比較し,栄養学的に有用である.ダブルトラクト再建においては,食物の通過経路が特に高齢者では,栄養状態に影響を与えうることが示唆された.残胃・空腸ともに食物が通過するような手技の工夫を行うことで,今後,ますます増加が予想される高齢者の早期胃癌において,術後栄養状態を考慮した治療の選択肢の一つとして期待できる.
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