演題

RS1-20-10-4

完全ヘルニア嚢剥離手技による巨大食道裂孔ヘルニア修復と治療成績

[演者] 田畑 信輔:1
[著者] 大西 顕司:1, 大野 徳之:1, 北島 竜美:1, 石田 誠:1
1:公立丹南病院 外科

巨大食道裂孔ヘルニアに対する腹腔鏡手術は食道胃接合部の環納,ヘルニア門の縫縮,噴門形成の大きく3つに分けられ,それぞれヘルニア嚢の処理の方法,ヘルニア門の縫縮にメッシュによる補強の有無,噴門形成は全周性か非全周性かなど議論がある.
特にヘルニア嚢の処理に関しては,我々が行っている解剖学的背景を利用した横隔膜下筋膜切開による確実な剥離層へのアプローチ,ヘルニア嚢牽引による剥離操作(Curtein retraction technique)を多用したヘルニア門での全周性の切離+頭側での剥離は,短胃動脈処理を伴う左側アプローチやヘルニア嚢処理を行わない手技よりも迷走神経の前幹,後幹だけでなく肝枝が確実に温存され,特に巨大な症例や幽門側胃切除同時施行例では手術時間,合併症に関して有利であると考えている.
今回は困難症例と考えられるBMI27以上のUpside down stomach,膵体部脱出を伴う4型の実際の動画とその成績を提示する.
治療成績:これまでに巨大食道裂孔ヘルニアを21例経験し,本手技を13例で施行した.平均年齢は約80歳,男女比は2:11,ヘルニアのタイプは11例が3型で,幽門側胃切除,胆嚢摘出同時施行が1例ずつ,2例がUpside down stomachを伴う4型であり,手術時間は平均約122分,ヘルニア嚢剥離に要した時間は約0分であった.メッシュは合併切除症例2例以外の11例で使用した.術中合併症はヘルニア嚢の剥離操作中の胸膜損傷が4例,皮下気腫が2例以外は特に出血,神経,食道損傷など合併症はなく,開腹移行もなかった.術後合併症として術後5-12日の一過性の嘔吐が3例,左無気肺,通過障害によりバルーン拡張を要した症例が1例あったが,1回の拡張処置により狭窄症状は改善した.観察期間は平均22ヶ月で再発は認めていない.
結果:手技を定型化したことにより,合併症が増加することなく手術時間が以前よりも短縮したが,4型やBMI27以上の肥満症例では長い傾向にあった.このため,困難症例ではポート追加を積極的に考慮してもいいと考えらた.また,幽門側胃切除症例でも合併症はなく,メッシュ未使用症例でも再発はないため,今後はメッシュ使用症例を巨大でも3型症例などでは減らせる可能性があると考えられた
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