演題

RS1-20-10-1

アカラシア合併食道癌における発癌と臨床腫瘍学的特徴に関する検討

[演者] 千野 修:1
[著者] 山崎 康:1, 數野 暁人:2, 小熊 潤也:2, 葉梨 智子:1, 山本 壮一郎:2, 西 隆之:3, 島田 英雄:3, 小澤 壯治:2, 幕内 博康:4
1:東海大学付属東京病院 外科, 2:東海大学付属病院 消化器外科, 3:東海大学付属大磯病院 外科, 4:東海大学医学部

【目的】食道アカラシアは下部食道噴門部弛緩不全に起因した機能的良性疾患であるが食道癌発生の危険因子といわれている.今回,アカラシアに合併した食道癌について臨床病理学的検討を行いその特徴を報告する.また,食道癌病巣に併存する過形成上皮と上皮内腫瘍の分布の検討から発癌について病理組織学的に検討する.【対象と方法】2016年12月までに経験したアカラシア合併食道癌の21例について臨床腫瘍学的特徴を検討した.また,癌部,上皮内腫瘍,過形成の組織分布を検索し癌化について病理組織学的に考察した.また,内視鏡検査を中心としたアカラシア治療後の経過観察と臨床的取扱いにおける注意点についても検討した.【結果】年齢43~76歳(中央値59歳),男女比16:5.拡張型は紡錘型0例,フラスコ型11例,S状型10例,拡張度はI度0例,II度14例,III度7例で発癌症例を認めた.手術またはバルーン拡張術のアカラシア通過障害解除治療後でも18例に癌化を認めた.発癌までの病悩期間は平均21.7年,手術後例では17.4年であった.表在癌12例,進行癌9例であり,肉眼病型は隆起型8例,陥凹型11例,平坦型2例であった.腫瘍占居部位が2領域以上の広範囲に及ぶ症例を9例に認め,平均腫瘍長径は53.3mmを示した.病理組織学的には癌胞巣に隣接した高度に肥厚した過形成上皮と上皮内腫瘍の混在を認めた.組織型は扁平上皮癌20例,類基底細胞癌1例であり,分化型癌が高頻度であった.治療方法は外科切除術10例,内視鏡的切除術7例,非切除4例であった.術前内視鏡検査において食物残渣や液体貯留に伴う食道粘膜の浮腫,肥厚,落屑様変化はアカラシア術後には改善を示していた.手術を中心とした狭窄解除術は必ずしも発癌の予防策とはなってなかったが,慢性肥厚食道炎の改善によって早期癌発見のためには有効であると考えられた.【結論】アカラシアでは通過障害に伴う慢性炎症に起因した粘膜過形成と上皮内腫瘍が生じて分化型癌が発生するものと推測された.食物残渣の停滞や付着などで癌発見が困難なことがある.発癌までの病脳期間は平均で20年以上であり,早期発見のためには手術後で狭窄解除後の状態であっても長期的な内視鏡的経過観察が必要であると考えられた.
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