演題

RS3-112-6-3

食道癌サルベージ手術の治療成績と課題

[演者] 吉田 知典:1
[著者] 栗山 健吾:1, 熊倉 裕二:1, 本城 裕章:1, 酒井 真:1, 宗田 真:1, 宮崎 達也:1, 桑野 博行:1
1:群馬大学大学院 病態総合外科学

【背景と目的】食道癌根治的化学放射線療法後に行われるサルベージ手術には,高い合併症率を伴う.しかしながら,根治的化学放射線療法後の再発や遺残に対し長期予後が期待できる治療はサルベージ手術のみであり,食道穿孔や狭窄症例などサルベージ手術を施行せざるを得ない症例も存在する.教室でサルベージ手術を施行した症例について,その治療成績と今後の課題について検討する.【対象と方法】1998年9月から2015年11月までに総線量50Gy以上の根治的(化学)放射線療法を行った後にサルベージ手術を行った40例を対象とし,手術成績および合併症,予後因子についてretrospectiveに解析した.【結果】治療前壁深達度はT1:7例,T2:4例,T3:15例,T4:14例であった.初回治療選択理由は患者希望21例,切除不能14例,併存疾患によるハイリスク症例5例であった.初回治療は化学放射線療法26例,照射単独14例であった.照射の総線量は50.4-79Gyで,中央値は60Gyであった.初回治療後の効果判定ではCRは24例で,16例は臨床的に遺残腫瘍を認めた.サルベージ手術の施行理由は再発23例,遺残10例,異時性多発癌3例,食道穿孔2例,食道狭窄2例であり,初回治療から手術までの期間は平均22.3か月であった.術後合併症は22例に認め,治療関連死は2例であった.腫瘍遺残度ではR0が30例,R1が8例,R2が2例であった.術後2年生存率は全生存率で32.4%,疾患特異的生存率で53.0%であった.予後不良症例の内訳は原病死が13例,他病死も13例で,他病死が多い傾向を認めた.他病死の中では肺炎が7例と頻度が高く,肺炎における死亡は術後平均15.3ヶ月と晩期に起こっていた.単変量解析では,初回治療前の臨床的壁深達度(P=0.28)や根治切除可能性(P=0.65)は予後と相関しなかったが,根治的化学放射線療法の効果(P=0.042),病理学的壁深達度(P=0.032),腫瘍遺残度(P=0.029)は有意に予後と相関する因子となり,初回治療前の進行度に関わらず,治療効果のある症例に対するサルベージ手術の有用性が示唆された.【結語】根治的化学放射線療法後にCRとなった症例,病理学的壁深達度の浅い症例,R0切除症例では比較的予後が良く,治療効果の良好な症例はサルベージ手術の良い適応と考えられるが,晩期の呼吸器合併症も多く,慎重な症例選択と厳重な術後フォローアップが必要である.
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