演題

O2-57-6-6

下部消化管穿孔患者の予後に対する骨格筋量減少の影響

[演者] 米山 智:1
[著者] 小林 仁存:1, 中村 亮太:1, 武藤 亮:1, 岡田 晃穂:1, 加藤 丈人:1, 稲毛 芳永:1, 小﨑 浩一:1, 寺島 徹:1, 湯沢 賢治:1
1:水戸医療センター 外科

【背景】急性反発性腹膜炎は現在でも死亡率の高い病態の一つであり,予後予測のため様々なスコアリングが用いられている.また骨格筋量減少は消化器外科手術や肝移植術等の術後合併症発生に関連するとの報告がなされているが,骨格筋量減少が下部消化管穿孔の予後に与える影響はこれまで報告が乏しい.今回我々は下部消化管穿孔による急性汎発性腹膜炎の予後と骨格筋量との関連について検討した.【方法】2013年1月から2015年12月に当院で経験した下部消化管穿孔の49症例についてretrospectiveに検討した.骨格筋量の指標として腰椎L3レベルにおける腸腰筋の断面積を入院時のCTで測定した.同時にL3椎体の断面積も計測し,腸腰筋断面積との比を求めることで体格の補正を行った.本検討では腸腰筋/椎体面積比の男女それぞれ下位1/3を低骨格筋量群(S群; sarcopenia群)とし,上位2/3を標準から高骨格筋量群(N群;non-sarcopenia群) とした.これらの患者における患者因子(年齢,性別),術前因子(悪性腫瘍の有無,入院時SOFA スコア),術中因子(術中出血量),術後因子(術後在院日数,術後30日死亡,術後90日死亡)について,比較検討した.【結果】S群は16人,N群は33人に分けられた.患者の平均年齢にS群間でやや高齢であったが有意差はなかった(S群: 76.6歳,N群: 68.7歳).また男女比,悪性腫瘍合併率,SOFAスコア,術中出血量に両群間で有意差はなかった.30日死亡率,90日死亡率はS群で有意に高値であった(30日死亡: S群4例,N群2例,90日死亡:S群5例,N群2例).生存退院した患者の平均在院日数に両群間で有意差はなかった.単変量解析では骨格筋量減少,年齢,SOFAスコアが90日死亡の危険因子であった.多変量解析ではSOFAスコアと骨格筋量減少が90日死亡の危険因子として抽出された.【考察・結論】骨格筋量減少は下部消化管穿孔に対する手術後の死亡率に悪影響を与える可能性が示された.通常,腰椎L3レベルは腹部CTでの撮影範囲に含まれる.同レベルでの腸腰筋断面積測定は追加検査を必要とせずに,高リスク患者の拾い上げに有用である可能性が考えられた.骨格筋量の減少した患者に対する,術後の積極的な栄養学的介入やリハビリ介入等が予後に与える影響は今後の検討課題である.
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