演題

O2-57-6-5

腹膜炎症例に対する緊急ハルトマン手術の術後合併症と在院死亡のリスク因子に関する解析

[演者] 柿澤 奈緒:1
[著者] 辻仲 眞康:1, 田巻 佐和子:1, 小櫃 保:1, 福田 臨太郎:1, 長谷川 芙美:1, 石岡 大輔:1, 菊川 利奈:1, 宮倉 安幸:1, 力山 敏樹:1
1:自治医科大学附属さいたま医療センター 一般・消化器外科

【はじめに】腹膜炎症例に対する緊急ハルトマン手術は,術後経過が重症化し,敗血症などによる死亡率が高いことで知られている.
【対象と方法】2013年1月から2016年11月までに当院で施行されたハルトマン手術62例のうち,腹膜炎で緊急手術となった43例について,患者の術後成績と合併症発症のリスク因子を後方視的に検討した.合併症予測因子として,POSSUM scoreを使用した.
【結果】(患者背景)年齢中央値は75歳(45~92歳),男性は26名(60%)であった.手術適応の内訳は,穿孔27例(63%),虚血8例(19%),閉塞性大腸炎7例(16%),憩室炎1例(2.3%)で,悪性腫瘍を伴っていたのは11例(26%)であった.虚血の8例中4例は心臓血管外科手術後に生じていた.術前の白血球数の中央値は7020 /μl (最高18000 /μl),CRPの中央値は8.9 mg/dl (最高51 mg/dl)であった.
術後ICU管理を要したのは29例(67%)で,抗菌薬使用日数の中央値は9日であった.Clavien-Dindo分類Grade Ⅲ以上の合併症は16例(37%)に生じた.また,9例(21%)が在院中に死亡した.死因として,6例が敗血症性ショック,2例がハルトマン手術と直接関連のない疾患(脳出血,食道潰瘍の出血)と考えられた.
Clavien-Dindo GradeⅢ以上の合併症の発症リスク因子として,単変量解析において,ASA(p=0.043),男性(p=0.0089),呼吸器疾患既往あり(p=0.045),POSSUM morbidity score(p=0.0045)が挙げられた.多変量解析の結果,男性,POSSUM morbidity scoreの2項目が独立した因子として同定された.在院死亡のリスク因子として,単変量解析において,虚血(p=0.046),輸血の実施(p<0.001),POSSUM mortality score(p<0.001),P-POSSUM score(p=0.0021)が挙げられた.多変量解析においては,輸血とPOSSUM mortality scoreの2項目が独立した因子として同定された.POSSUM scoreの構成因子である,physiological score (PS)とoperative score (OS)について分析を行ったところ,合併症発症に関しては,PS(p=0.025)とOS(p=0.017)ともに有意な関連を認めたが,在院死亡と関連があったのはPS(p=0.034)であった.
【まとめ】腹膜炎に対する緊急ハルトマン手術症例に関し,今回の検討で得られた指標を活用することで,術後合併症の発症や在院死亡を予測することが可能となり,周術期管理や患者説明に応用することができると考えられた.
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