演題

食道癌治療における大建中湯,六君子湯の効果についての臨床研究

[演者] 西野 豪志:1
[著者] 吉田 卓弘:1, 井上 聖也:1, 後藤 正和:1, 清家 純一:1, 丹黒 章:1
1:徳島大学大学院 胸部・内分泌・腫瘍外科学

【はじめに】食道癌治療は手術と化学療法,放射線治療を組み合わせた,集学的治療が標準となりつつある.食道癌の根治手術は,その他の消化器癌手術と比較して侵襲が大きく,食物摂取経路が劇的に変化することから,体重減少は著しく,大きくQOLを損なう.また,食道癌の化学(放射線)療法は多剤併用療法が標準となっており,悪心・嘔吐,食欲不振などの消化器系の有害事象対策が重要である.われわれは,食道癌に対する化学療法および手術治療における漢方薬の効果についての無作為比較試験を行い,実臨床にも適用している.
【TJ-100:大建中湯】近年,大建中湯の腸管運動促進作用,抗炎症作用,腸管血流増加作用が注目され,各種手術で周術期投与の有用性が報告されている.食道癌術後の大建中湯の効果を明らかにする目的で,当科で根治手術を予定した食道癌40例を,大建中湯投与群20例と非投与群20例に無作為に割り付け,比較検討した.術後14日目における体重減少率は,投与群が3.1%,非投与群は5.3%と大建中湯により体重減少が抑制された(p=0.026).術後の排ガスや排便までの日数は,投与群で短い傾向があり,術後の腹部膨満感などの消化器症状が少ない傾向があった.大建中湯の投与により消化管機能の回復が改善され,体重減少を抑制する効果を認めた.
【TJ-43:六君子湯】進行食道癌に対する化学療法はDocetaxel/5-FU/CDDPの3剤併用療法が標準治療になりつつあるが,骨髄抑制以外に,悪心・嘔吐・食欲不振などの消化器毒性が高頻度にみられる.六君子湯は,化学療法に伴う悪心・嘔吐などの消化器症状に対する効果が報告されている.化学療法を予定した進行食道癌(StageⅡ-Ⅲ)19例を六君子湯投与群9例と非投与群10例に無作為に割り付け,比較検討した.治療開始14日目における嘔気Gradeは,投与群で有意に軽度であり,Mood scoreやADL scoreの低下が抑制された.また六君子湯と因果関係のある副作用はなく治療効果に影響はなかった.六君子湯投与により良好なQOLを維持したまま化学療法が継続可能であった.
【結語】食道癌の周術期および化学療法時において漢方薬は患者のQOL維持に貢献することができる有用な薬剤であると考える.
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