演題

O2-57-6-2

急性汎発性腹膜炎手術症例に対する治療戦略

[演者] 佐々木 滋:1,2
[著者] 中村 純一:1,2, 岡田 幸士:1,2, 里村 仁志:1, 沖 彰:1, 吉留 博之:1, 新村 兼康:1, 芝崎 秀儒:1, 加藤 敬二:1, 桑野 博行:2
1:さいたま赤十字病院 外科, 2:群馬大学附属病院 外科診療センター

【はじめに】穿孔性腹膜炎は消化器外科手術領域の中でも緊急性が高い疾患のひとつで,緊急手術のタイミングや術式にgolden standardは存在しない.そこで,当院における急性汎発性腹膜炎手術症例に対する治療戦略をretrospectiveに検討した.
【対象/方法】2009年1月から2015年12月までに当院で緊急手術を施行した下部消化管穿孔症例70例を対象とした.明らかな医原性症例と虫垂穿孔症例は除外した.
【結果・考察】70例の平均年齢は71.6歳,男女比1:1であった.Mortalityは13例(18.6%)に認めた.予後予測指標のMannheim Peritonitis Index(以下MPI)スコアを使用し,高リスク群と低リスク群に分類した.ROC曲線からcut off値を求め,MPIスコア28点以上を高リスク群とした.高リスク群のMortalityは9例(9/24, 37.5%)であった.高リスク群中の死亡(9例)と生存(15例)の2群間比較を施行した.背景因子の年齢・性別・来院時の全身状態・発症から来院までの時間などに統計学的有意差は認めなかった.医療者が改善し得る要因である手術時間・出血量・来院から手術までの時間にも有意差は認めなかった.術式は吻合1例,人工肛門造設15例,切除のみ(2期的再建)8例であった.MPIスコアがより高く臓器障害が強い症例に切除のみが選択される傾向にあり,手術時間は短縮傾向にあったが,死亡率(37.5%)には変化なく,生存に寄与している確証は得られなかった.以上のことから下部消化管穿孔による急性腹膜炎の治療成績を向上させるためにはまだ改善すべき点があると考えるが,現在のところ不明である.ただし,高リスク群の救命症例が増加するにつれて明らかになると期待される.それまでは現在の治療バンドルの継続には意義があると考える.すなわち,他施設からの報告にもあるとおり,来院から手術開始までの時間・手術時間を可能な限り短縮し,術後は救急部と協力してSSCGに則った治療を継続することが重要と考える.
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