演題

O2-86-13-4

腹部悪性腫瘍に対する粒子線治療適応拡大を可能とする新規素材吸収性スペーサーの開発と臨床応用

[演者] 小松 昇平:1
[著者] 福本 巧:1, 木戸 正浩:1, 浅利 貞毅:1, 外山 博近:1, 味木 徹夫:1, 具 英成:1, 出水 祐介:3, 沖本 智昭:3, 佐々木 良平:2
1:神戸大学大学院 肝胆膵外科学, 2:神戸大学大学院 放射線腫瘍学, 3:兵庫県立粒子線医療センター

腹部悪性腫瘍に対する粒子線治療は,腫瘍の消化管近接により消化管の放射線障害が大きな問題となり,根治的線量の照射が困難であった.この治療限界を克服すべく,我々は第1段階として腫瘍と消化管の間にゴアテックスシートをスペーサーとして挿入し,術後に粒子線照射を施行する2段階治療を考案し,臨床I, II相試験として2006年8月から2016年12月までに腹部悪性腫瘍158例に対して施行し良好な治療成績を収めている.
しかし症例の蓄積とともに非吸収性素材であるゴアテックスシートでは組織反応に伴う発熱や腹腔内感染,含気による放射線遮蔽力の不足となるなど克服すべき問題点が明確になった.そこで我々は次世代型のスペーサーとして,ポリグルコール酸 (PGA) 糸を用いて世界初の吸収性スペーサーを産学連携で開発し特許を取得した.マウスの埋植,照射実験で安全性を確認した後,カニクイザルおよびミニブタへの埋植実験も施行し,大型動物でも3か月で完全に吸収されることを明らかにした.現在,臨床試験実施中で数年以内の薬事承認,保険収載を目指している.本研究開発はbench-to-bedsideの成功事例であり,この吸収性スペーサーの開発により腹部悪性腫瘍に対する粒子線治療適応拡大につながると考えている.
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