演題

O2-86-13-2

次世代型TLR9アゴニスト(K3-SPG)を用いた新しいがん免疫療法の可能性とヒトへの応用

[演者] 北畑 裕司:1,2
[著者] 勝田 将裕:1, 宮澤 基樹:1, 川井 学:1, 廣野 誠子:1, 岡田 健一:1, 清水 敦史:1, 上野 昌樹:1, 石井 健:2,3, 山上 裕機:1
1:和歌山県立医科大学附属病院 消化器外科・内分泌・小児外科, 2:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 アジュバント開発プロジェクト, 3:大阪大学 免疫学フロンティア研究センター ワクチン学

(背景・目的)CpGモチーフを含む短鎖DNAであるCpG-ODNは,TLR9依存的なIL-12およびⅠ型IFNの産生を介してTh1応答を促進する.単独でのがん免疫治療薬として,がんワクチンアジュバントとして期待されている.しかし,核酸医薬であるCpGは生体内における不安定性および投与後の標的細胞である免疫担当細胞への集積の低さなどの理由により充分な臨床効果が得られていないのも現状である.そこで,我々はこれらの問題点を克服しうる次世代型TLR9アゴニスト(K3-SPG)を開発し,抗腫瘍効果の検討および免疫学的解析を行いがん免疫療法の可能性を検討した.K3-SPGはCpG(K3)をβ1-3グルカン(SPG)との複合体を形成することより得られる(PNAS 2014).
(方法・結果)担癌マウスモデル(cell line: EG7, B16, MC38)を用いて,K3-SPG全身投与群とK3全身投与群,K3腫瘍内投与群,非治療群における抗腫瘍効果の検討およびそのメカニズムの解析を行った.K3-SPG全身投与群,K3腫瘍内投与群において,いずれのcell lineにおいても有意に抗腫瘍効果を認めた.Pan02を用いた腹膜播種モデルにおいても,有意に腫瘍縮小効果と生存率の改善を確認した.これらの効果は,KOマウスを用いた検討でIL-12およびIFN依存的であり,自然免疫の活性化による腫瘍縮小効果に引き続き,獲得免疫反応である腫瘍抗原特異的免疫反応を誘導し,腫瘍縮小効果を認めた.さらに,蛍光標識を付加したK3-SPGを全身投与することにより,蛍光シグナルが腫瘍に散見されたことから,K3-SPGがdrug delivery system(DDS)を有することが示唆された(Oncotarget 2016).
(結語)K3-SPGは,従来のCpG(K3)と異なり全身投与においても強力な抗腫瘍効果を認めた.K3-SPGは,従来の核酸医薬の問題点を解消し,免疫担当細胞への効率よいターゲティングを有していると考えられた.次世代型TLR9アゴニスト(K3-SPG)の全身投与は新しいがん治療法のひとつとして有望であると考えられる.今後,我々はこの次世代型TLR9アゴニストを複合免疫療法への発展の可能性を含め,ヒト臨床治験へと展開する計画である.
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