演題

大建中湯内服による消化器癌術後腸閉塞発症抑制効果についての検討:メタ解析

[演者] 石塚 満:1
[著者] 渋谷 紀介:1, 永田 仁:1, 高木 和俊:1, 岩崎 喜実:1, 蜂谷 裕之:1, 青木 琢:1, 窪田 敬一:1
1:獨協医科大学医学部 第二外科学

【背景】2015年以降,大建中湯(Daikenchuto: DKT)内服による消化器癌術後腸管運動改善効果に焦点をあてたrandomized control trial (RCT)の報告が相次いでいる.
【目的】周術期DKT内服による消化器癌術後腸閉塞発症抑制効果に焦点を絞り,最新の論文を含め検討した.
【対象,方法】複数の英文医学データベースと医中誌(抄録あり&原著論文&会議録除く&症例報告除く&ヒト>19歳(成人))を使用しDaikenchuto or TU-100 or TJ-100 or DKT or 大建中湯で検索をかけて得られた661文献(Cochrane Library : 45, Web of Science:309, Pub med:240, 医中誌:67)の中から,重複例を除いた496文献中にはメタ解析を行った論文は無かった.Title searchとAbstract searchでこれらの文献の取捨選択を行い,残った28論文を読み込むことで最終的に当初の目的(Patient; 消化器癌手術を受けた患者 Intervention; 大建中湯内服群 Comparison; コントロール群 Outcome;術後腸閉塞の発症)に合致した7論文(英文5編,和文2編) (RCT 6編,prospective study 1編)を選出し,これらを対象としてメタ解析の手法を用いて検討を行った.
【結果】2007年から2016年12月までの間に報告された7論文の集計結果では588例のDKT群において67例の術後腸閉塞(11.4%)が認められたのに対し,546例のControl群では87例の術後腸閉塞(15.9%)を認めた.これらを統合し,変量効果モデルを用いたメタ解析の結果ではDKT内服の術後腸閉塞発症に対する効果はRisk ratio (RR) 0.58; 95% C.I. 0.35 - 0.97, P = 0.04, I2 = 48%であった.
【考察】1)全ての論文が本邦からの報告であった.2)術後腸閉塞の定義が曖昧で観察期間も一定ではなかった.3)DKT内服の期間と量も一定ではなかった.4) Placeboの有無.5)腹腔鏡手術施行の有無.6)術後癒着防止フィルムの施行の有無.といった術後腸閉塞発症に影響を与える背景因子についての問題点はあるものの,今回のメタ解析の結果から,DKT内服の術後腸閉塞発症に対する効果はControl群に対し42%のリスク軽減効果があり,統計学的にも有意であった.しかもI2 = 48%と異質性は中等度であり,左右対称のfunnel plotの結果から公表バイアスも少ないことが示された.
【結語】周術期DKT内服により消化器癌術後腸閉塞の発症は抑制されうると考えられた.
詳細検索