演題

O2-85-13-5

肝内胆管癌におけるHippo 経路構成分子の発現異常解析による新たな悪性度規定因子と治療標的の同定

[演者] 杉町 圭史:1,2
[著者] 西尾 美希:3, 黒田 陽介:2, 小松 久晃:2, 別城 悠樹:1, 東 秀史:1, 竹中 賢治:1, 鈴木 聡:3, 三森 功士:2
1:福岡市民病院 外科, 2:九州大学病院別府病院 外科, 3:九州大学生体防御医学研究所 ゲノム腫瘍学

【背景】肝内胆管癌(ICC)は高悪性度の腫瘍であるが有効な治療分子標的は確立していない.細胞増殖,幹細胞分化,上皮間葉転換,器官形成・サイズ,がん発症・進展を制御するHippo経路におけるkey componentであるYAPは細胞増殖を促進し,MOB1はYAPの機能抑制を来す.先行研究にて我々は肝臓特異的MOB1A/1B欠損マウスにおいて未熟胆管細胞の過形成が生後早期からみられ,生後3週間以内に半数以上が致死となるが,長期生存すると肝内胆管癌や混合肝癌が全例に発症することを見出し,MOB1はTGFβ経路と共同して胆管発がんに重要な役割を果たすことを報告した.今回,ヒトICC臨床検体におけるMOB1,YAPの発現異常の臨床的意義を検討した.
【方法】1990年から2015年までに行ったICC初回肝切除88症例を対象とした.YAP,MOB1,SMAD2,TGFβ2の発現を免疫組織学的に検討した.標本中の染色陽性領域と染色強度の2項目によってscoringを行い,タンパク発現のgradeを決定した.各分子の発現と臨床病理学的因子の相関を統計学的に解析した.
【結果】YAP核内強発現28例(31.8%)に認められ,YAP強発現群は有意に予後が不良であった(logrank, p=0.01).一方MOB1発現は42例(47.7%)で低下しており,MOB1低発現群は有意に予後が不良であった(logrank, p=0.02).サブグループ解析ではYAP低発現かつMOB1高発現群が有意に予後良好であった(p<0.05).またYAP強発現はSMAD2の核内発現と有意に相関し共役して核内で機能していることが示唆された.多変量解析においてYAP強発現(p<0.01),MOB1低発現(p<0.01),リンパ管侵襲(p<0.01)が生存の独立危険因子であった.
【結語】Hippo経路のコンポーネントであるYAP,MOB1の異常がICCの悪性度に寄与しており,重要なバイオマーカーや治療標的となることが示唆された.
詳細検索