演題

閉塞性黄疸患者における茵チン蒿湯投与に関するメタボローム解析

[演者] 横山 幸浩:1
[著者] 宇治 誠人:1, 江畑 智希:1, 菅原 元:1, 伊神 剛:1, 水野 隆史:1, 山口 淳平:1, 梛野 正人:1
1:名古屋大学大学院 腫瘍外科学

茵チン蒿湯胆汁排泄促進作用や肝庇護作用があることが知られている.われわれが以前行った研究では,胆道ドレナージを行っている患者を対象に茵チン蒿湯内服前後で胆汁中の総ビリルビン濃度や胆汁酸濃度を測定したところ,約7割の患者ではこれらの濃度が上昇したが,残り3割の患者では上昇がみられなかった.このような結果は,茵チン蒿湯内服に伴う薬効が患者間でばらついていることを示唆する.茵チン蒿湯の成分のうち最も高濃度に含まれるものにgeniposideがある.Geniposideは腸内細菌の作用でgenipinに変換され,それが腸管より吸収されて門脈血流を介して肝臓に運ばれる.また茵チン蒿湯にはgeniposide以外の主成分として6, 7-dimethylesculetinも含まれる.これまで,茵チン蒿湯内服後のこれら主成分の薬理動態について調べられたことは無い.また,茵チン蒿湯内服により血中の代謝物変化やその変化と薬理作用の関連についても調べた報告が無い.本研究では,胆道癌により閉塞性黄疸となり胆道ドレナージを経皮経肝ドレナージあるいは内視鏡的経鼻胆道ドレナージなどで外瘻を行っている患者(n=39)を対象に,茵チン蒿湯内服前後で血液を採取し,血中のgenipinや6, 7-dimethylesculetin濃度の変化をみるとともに,メタボローム解析による網羅的な代謝変化を検討した.Correlation network analysisでは,茵チン蒿湯内服による肝機能改善効果(胆汁流出量増加やALT低下を指標とする)が,血中のgenipin や 6, 7-dimethylesculetin濃度およびグルクロン酸濃度と相関関係を示した.血中のグルクロン酸濃度が低い24名の患者では,胆汁流量,胆汁中胆汁酸濃度が茵チン蒿湯内服で有意に改善され,血中ALTや総ビリルビン濃度も有意に改善された.これらの結果より,血中グルクロン酸濃度は茵チン蒿湯内服に対するgood responderを選定するためのbiomarkerとなり得る可能性が示唆された.
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