演題

O2-83-13-5

消化器癌術後転移再発抑制効果を目指した漢方治療の研究

[演者] 長田 拓哉:1
[著者] 関根 慎一:1, 北條 荘三:1, 渋谷 和人:1, 橋本 伊佐也:1, 吉岡 伊作:1, 奥村 知之:1
1:富山大学附属病院 消化器外科

【目的】消化器癌術後の転移再発抑制を目的とした漢方治療は未だ確立されておらず,副作用の少ない和漢薬の開発が望まれている.今回,我々は大建中湯(DKT)及びユキノシタ(SSM)に,消化器癌細胞に対する抗腫瘍効果が存在することを見いだした.さらに大建中湯の構成要素である山椒に抗腫瘍因子が存在する事を明らかにしたので報告する.
【方法】食道癌,胃癌,大腸癌細胞株にそれぞれDKT,SSMを加えて1~72時間培養し,MTTアッセイを用いて腫瘍増殖抑制効果の測定をおこなった.また,DKT,SSM投与における癌細胞のアポトーシス変化について解析した.動物実験としてヌードマウスを用いた胃癌腹膜播種転移モデルを作成し,DKTあるいはSSMを4週間内服させた後に,腹膜播種転移個数について比較検討した.さらにDKTの構成成分である人参,山椒,乾姜についてそれぞれの抗腫瘍効果を比較検討した.
結果:DKT,SSMの投与により,食道癌,胃癌,大腸癌細胞に対して抗腫瘍効果を示した.このとき,DKT,SSMを作用させた腫瘍細胞にはアポトーシスが誘導された.DKT,SSMを内服投与したヌードマウス腹膜播種転移モデルでは,コントロールと比較して胃癌腹膜播種転移個数が有意に減少した.DKT,SSMには他の漢方薬よりも強い抗腫瘍効果が見られた.さらにDKTの構成成分である山椒に特に強い抗腫瘍効果が認められた.
結語:DKT,SSMは消化器癌術後転移再発抑制効果を示す漢方薬として,癌治療に対する有用性が示唆された.またDKTの構成成分である山椒に抗腫瘍因子が含まれている事が明らかとなった.
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