演題

O2-83-13-4

小胞体ストレス反応関連遺伝子ATF6の大腸癌/UC関連癌における発現とDysplasia鑑別診断補助としての有用性

[演者] 花岡 まりえ:1
[著者] 石川 敏昭:2, 石黒 めぐみ:2, 十倉 三千代:1, 山内 慎一:1, 菊池 章史:1, 岡崎 聡:1, 植竹 宏之:2, 安野 正道:1, 河野 辰幸:3
1:東京医科歯科大学附属病院 大腸・肛門外科, 2:東京医科歯科大学附属病院 腫瘍化学療法外科, 3:東京医科歯科大学大学院 消化管外科学

[背景]近年,小胞体ストレス応答(UPR)の炎症性腸疾患や発癌への関与が報告されており,UPRは潰瘍性大腸炎(UC)の発癌過程に関与している可能性がある.
[目的]UPR関連遺伝子の大腸癌およびUCの発癌過程への関与を明らかにする.
[対象と方法] Stage1~4の大腸癌手術検体115例を対象とした網羅的発現解析より,癌部で高発現するUPR関連遺伝子としてATF6を抽出した.次に2009~2010年に当科で手術を施行された大腸癌137例に対し,免疫組織学的手法(IHC法)とRT-PCR法を用いてATF6の発現解析を行った.また同時期に内視鏡的切除された腺腫48例,Tis癌44例のATF6蛋白発現をIHC法にて解析した.さらに2004~2015年に手術を施行されたUC51例(UC関連腫瘍18例,非UC関連腫瘍33例)から,炎症粘膜(93病変),Dysplasia(28病変),UC関連癌部(15病変)を選択し,ATF6とp53免疫染色を行い染色陽性率を比較した.また,IHC法によるATF6とp53の,炎症粘膜とDysplasiaの鑑別能をROC曲線分析で比較した.
[結果]大腸癌手術検体において,ATF6蛋白は正常粘膜に比べて癌で有意に高発現であり(P<0.001),ATF6 mRNAも同様であった(p=0.035).内視鏡的切除症例において,adenomaより癌で高発現であった(P<0.001).UC切除検体では,炎症粘膜に比べてlow grade dysplasia(LGD) , high grade dysplasia(HGD)およびUC関連癌部で高発現であった(P<0.001).ATF6の染色状態をスコア化し5以上を陽性としてp53染色陽性率と比較したところ,LGDにおいてはp53よりATF6の方が高い陽性率を示した(70.8% vs. 16.7%).炎症粘膜とLGDの鑑別におけるROC曲線分析のC統計量はATF6: 0.747,p53: 0.428であった.
[結語]ATF6は大腸癌およびUCの発癌過程に関与している可能性が示唆された.また,ATF6はUCの炎症粘膜とLGDの鑑別に有用である可能性がある.
詳細検索