演題

O2-83-13-2

内臓肥満が大腸癌に与える影響: Leptinは女性の大腸癌予後を悪化させる.

[演者] 宮本 裕士:1
[著者] 大内 繭子:1, 坂本 快郎:1, 徳永 竜馬:1, 織田 枝里:1, 澤山 浩:1, 岩槻 政晃:1, 馬場 祥史:1, 吉田 直矢:1, 馬場 秀夫:1
1:熊本大学大学院 消化器外科学

背景: 肥満は心疾患や糖尿病の原因となるばかりでなく,癌発症のリスクを高めることが報告されている.内臓脂肪組織より分泌されるadipokineは,慢性炎症や血管新生を引き起こし,大腸癌の予後に影響を及ぼすと考えられている.今回我々は,内臓脂肪量と大腸癌切除後の予後の関連性を調べるとともに,内臓脂肪におけるadipokine発現レベルと全身炎症所見および大腸癌の臨床病理学的所見との関連性を調べた.
方法: 根治切除を施行したStage I-III大腸癌を対象とし,2つのコホートを解析した.コホート1 (n=310)では,術前CTより計測した内臓脂肪量 (VFA)の測定値25%(第1四分位点)以上を高VFA群とし,測定値25-75%の正常VFA群と予後(再発率)の比較を行った.コホート2 (n=108)では,術中に採取した内臓脂肪組織でのadipokine (Leptin, VEGF, IL-6, TNFa) の発現をreal-time PCRを用いて測定した.さらに術前血漿サンプルより,各adipokineおよび,炎症マーカーとして高感度CRPとserum amyloid Aを測定した.解析は全て男女別に行った.
結果: コホート1の患者背景は,ASA Grade3/4症例の割合が正常VFA群で多い以外は有意差を認めなかった.男性では内臓脂肪量と予後とに有意な関連を認めなかったが,女性では高VFA群が正常VFA群と比較して再発のリスクが高かった(5年再発率34% vs.11%, multivariable HR=3.53, 95%CI 1.05-12.65, P=0.04).コホート2では,男女共に内臓脂肪量と脂肪組織のLeptinレベルに正の相関が認められた(Spearman rank; 男性: R2=0.47 P<0.01, 女性: R2=0.29 P=0.04).血中Leptinレベルは女性が男性より有意に高かった(P<0.01).また女性では,脂肪組織でのLeptin高発現群は低発現群と比較して,血中Leptinレベル(P=<0.01)と高感度CRPレベル(P=0.04)が有意に高かった.さらに多変量解析において,血中leptinレベル高値が静脈侵襲陽性のリスク因子として同定された (multivariable OR= 3.22, 95%CI 1.10-9.35, P=0.03).
結語: 大腸癌根治切除を施行した女性において,内臓肥満は予後不良因子であり,内臓脂肪から分泌されるleptinが大腸癌の進展に関与していることが示唆された.
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